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NO.96
平成9年9月1日

まだ暑い日が続きます

 今年は,6月に台風が上陸したと思ったら,続いて各地に大雨,そして夏の冷夏予想はお盆の期間の数日間だけ的中して,後は今年も記録的な猛暑となってしまいました。9月になってもまだ暑い日が続くと思いますが,どうぞ身体にお気をつけ下さい。
 今年は,また,数々の凄惨な事件・事故などが目に付きます。
 先月(8月)の初めに犯行時19歳であった死刑囚の刑が執行されました。この事件の特異なところは,少年による犯罪であったこと,本人が獄中手記『無知の涙』等を出版したこと,一審死刑判決,二審で無期懲役に減刑された後,差戻し審で死刑判決が確定したこと,そして本名が実名で報道されたことなどです。これから死刑制度のあり方や少年法について変わっていかざるを得ないのかも知れません。
 また,少年による事件として,最近神戸で起きた小学6年生殺害事件は,その犯行の異常さ,逮捕された犯人が心身の未発達な中学生だと知って衝撃を受けた方は少なくなかったと思います。その後この事件は,人の心の卑しさも思い知らされることになりました。逮捕後すぐこの中学生の写真が写真週刊誌に掲載されました。しかしその写真を見たいと思う人は,我々も含め決して少なくなかったと思います。俗悪な趣味は自分に関係が無ければ,知る権利だと声を高らかに喚くことができます。
 少年法61条では,罪を犯して起訴された少年についてその少年だと特定のできる出版物への掲載を禁じ,捜査段階の少年についてもこれは適用されると解釈されています。しかし人の心の中に棲む醜悪な一面は,少年法の精神やプライバシーの保護のなどどこ吹く風で,興味本位にその様な掲載物を見たいと思ってしまいます。
9月の税務予定
9月から11月がもっとも税務調査の多い時期です。
 ある司法記者は,神戸の事件で週刊誌に掲載された少年の写真について,「この騒ぎの中,問題のページをコピーして販売する書店があったり,入手した二誌(編者,『フォーカス』と『週刊新潮』)を店頭のショーケースに陳列する喫茶店があったのには,驚いた。今のところ,テレビや新聞を含めて他のマスメディアの中に新潮社に追随して写真を掲載するところがないのは,せめてもの救いと言っていいだろう。」と結んでいます(ジュリスト1117,4)。
 これら報道の根底に流れる問題は,人の品性の卑しさを商売にするマスコミにあるのか,他人のスキャンダルに興味を持つ人(大衆)に有るのかははっきりしませんが,品性の卑しさは,自分を含めて直らないものなのでしょうか。
 メディアの取材を執拗に受け,それを振り切ろうとした一台の車が事故を起こしたニュースが流れています。犠牲者となったのは車に搭乗していたダイアナ元英皇太子妃でした。報道機関は,自分たちに関係ないメディアのこととして報道し,したり顔のニュースキャスターは,自分だけが正しいと,今日も報道しています。
*先月(8月)相続税,地価税の課税のための土地などの評価の基準になる平成9年分の路線価と評価倍率等が全国一斉に公表されました。時価の下落傾向を反映してか,本年度も東京圏でも前年比10%減となっています。事務所にも,東京国税局管内の倍率表と路線価図(藤沢,横須賀,鎌倉,平塚,厚木,大和の各税務署管内)を用意しておりますのでご利用下さい。
*今月の税務予定で,今月から11月まで税務調査が多くなるとお知らせいたしました。これは,7月の税務職員の移動が済み,夏休みも明けて,これから年末にかけて調査をするのに時間的に丁度良い時期になるからです。もちろん他の時期でも決してないわけではありませんが・・・調査について幾つかQ&Aを作ってみました。
Q,調査はどのようにして行われます か?
A,通常,税務署の職員が納税者の税務調査をしようとする場合には,前もって,納税者あるいは関与税理士に対して連絡することになっています。通常は税理士に対して電話連絡がありますので,税理士は,依頼を受けた納税者と日程を調整して納税 地で調査を受けることになります。2日間ぐらいが多いようです。
Q,事前に連絡の無い税務調査はあるのでしょうか。忙しい時に急にこられても困るのですが。また急に調査を受けたらどのように対処したらいいのでしょうか?
A,通常は連絡が有りますが,現金商売などの業種では,現況の確認をしたいとして連絡無く急に税務職員が調査に来ることがあります。この場合に重要な用があるようでしたらお断りしてお帰り頂いて下さい。またその場で必ず私どもの事務所にご連絡下さい。できうる限り適切な対処をさせて頂ただきます。大半は一度お帰り頂きその後日程を打ち合わせ再度お越し頂くことにしております。
 そこでの会話について・・・ 所長「今回の税務調査の目的についてお尋ねいたします。」
署員「長期間調査にお伺いしておりませんでしたのでお邪魔いたしました。また昨年の申告で赤字になっておりますのでその理由をお聞きしようと思いまして。」
所長「この業界どこでも同じだと思いますが,売上げが減少傾向にあり不本意な結果となりました。」
〃「調査に着手されるときに前もってご連絡頂けませんでしたが,どのような理由で直接お越しになったのでしょうか?税理士の立ち会いを含めて税理士が不要だと判断されていると解釈して宜しいでしょうか。」
署員「現金取引商売ですので日々の売上げの確認をさせていただく場合に直接お邪魔しております。」
  などなど・・後段については明確な回答は得られませんでした。
 これは,数年前に行われた事前通知のない調査の一場面です。
Q,どうしても社長が予定がつきません,調査をお断りすることはできますか?
A,税務調査は,犯罪の調査ではありませので任意調査と呼ばれ,正当な理由があれば調査を延期してもらうことができます。裏返せば正当な理由の無い場合には調査を受けることが義務付けられていると言うことです。理由があったとしても,延期となるだけですのでご協力をお願いします。税理士に調査の立会をご依頼 される場合には,納税者と共に税理士も一諸に調査を受けます。税理士だけでも直接その場で答えられることも少なくありませんので,理由を説明して中座されてもかまいません。
 昨年の調査で申告漏れが多い業種は,病院,美術骨董品,貸金,釣船などの業種があげられています。
 今年の首都圏の個人調査では「弁護士」が重点調査業種にあげられているそうです。その理由は,バブル崩壊後の借金や土地売買等のトラブルが多発したため弁護士さんの収入が増えているからだそうです。

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ディスクロージャー

 私どものこの事務所通信は,顧問先,取引先,銀行や保険会社など,ご助力を頂いております各方面に勝手にお送りしております。先月号で,生命保険会社の経営破綻について書いてみました。その中で保険会社のディスクロージャ−は十分ではないのにどうやって契約者は,自己の財産を防衛できるかと書きましたところ,一社(大同生命)だけでしたが,早速業務内容についての資料を送付していただきました。確かに多くの保険会社では経営破綻は人ごとかも知れませんが,保険加入率の低下や解約の増加もまた現実に広がってきておりますので,積極的な経営姿勢を明確にすることは契約者にとっては意義有ることだと思われます。資料をお送りいただきました担当者の方に感謝申し上げます。また,保険の見直し,契約等でご希望が有ればこの資料を送らせていただきます。

編集後記
9月に入ってもまだ残暑が厳しく,すっかり夏ばてしています。でも値
上げの秋はしっかりやってきました。今月からサラリーマン本人の医療費
が2割負担(今までは1割)となります。なおかつ,健康保険料の料率が
引き上げられるため,10月分の給料から,会社も,社員も負担増となり
ます。行革の先行きは見えませんが,国民の負担だけは確実に増えます。
編集発行 株式会社プランニングファイブ


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Last Updated: 3/SEP./1997