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TAX
OFFICE NO.265
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平成23年11月1日
臨時増税
11月になっても,暑い日が続きます。西日本では,10月後半でも夏日となる地域がかなりありました。
有価証券報告書等を提出する上場会社などでは,昨年(平成22年)3月31日に決算日が到来する会社以降,役員報酬の開示の強化が図られて,今年で2回目を迎えています(『役員報酬開示の傾向』別冊商事法務362号を参考にしました。)。
開示内容は,結構厳しく役員の区分ごとに報酬の種類別(基本の報酬,賞与あるいはストック・オプション(SO)など)の総額や連結報酬総額が1億円以上の連結報酬等も開示することになっています。
その中には報酬の算定方法も記載されています。例えば,「月額報酬:過年度の個人業績に対する評価等を総合勘案して個人別支給額を決定の上,支給しております。賞与:過年度の連結業績等に基づき,支給の有無と支給の場合の総額を決定し,個人別支給額を決定の上,支給しております。」(三菱商事),や社長以下をポイント制にするなど工夫が凝らされていました。
ちなみに高額な企業買収の投資顧問料で辞任に追い込まれたオリンパスのK会長兼社長は,1億7千万円(基本報酬1億5千万円,賞与2千万円)で(平成23年3月期有価証券報告書・前掲商法94頁),1億円以上の役員報酬を得たのは,12名の社内取締役のうちK氏のみでした。この後,株主代表訴訟が待っています。
我が国のスティーブ・ジョブズ氏である孫正義社長も,連結含めても1億円強で,楽天の三木谷社長と殆ど同じです(楽天は,22年12月決算期)ので,K氏より少ないことになります。
意外と気になるのは,費用計上されたSOがあることです。これは,会計基準に基づいて計上されています。
なお,巨額借り入れで揺れた大王製紙の創業者であるI前会長については,提出会社(23年3月期)で1億円未満なのでしょう個別の記載はありません。
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11月の税務・総務予定
(税務)
*所得税の予定納税額の減額申請
15日まで
*所得税の予定納税額の納付(第2期分) 30日まで
*個人事業税の納付(第2期分) 通常月末
*税を考える週間 11日〜17日
(総務他)
*年末調整関係資料の配付
*冬期賞与の算定
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以上のように新規の法案は,概略すると,@復興財源特別措置法案,A復興財源地方税臨時特例法案,B国税震災特例改正法案(第2弾),C地方税法等震災特例改正法案(第2弾)です。また継続中のものとしては,D平成23年度税制改正法案,E平成23年度地方税制改正法案があります。
これらが入り組んでいますので,改正の内容も当初案よりかなり後退してしまうの
安住大臣・・特に,国税通則法改正事項の一部見送りは,自民・公明の両党の反対で幻の改革法案になりそうです。通則法の中で納税者の権利憲章については中野先生をはじめ、峰崎先生の方からも御指摘がありましたように、大変残念だと思っております。政権交代後、納税者の側に立って、この納税を考えるという権利憲章でありましたが、目下の国会情勢を考えれば、今、中野会長代行からの御指摘があったことで、やむを得ないと思っております。しかし、今後、引き続きこうした理念が実現されるように、政府税調としても努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。(平成23年10月11日第10回税制調査会議事録) |
今のところ,一般に公表されている主な内容は,次の通りです。
所得税額に対する付加税:4%(25年1月から34年12月まで)
これは,25年分(再来年)から10年間に亘って所得税が4%アップします。非居住者の国内源泉所得はもちろん,外国法人の国内の利子・配当も対象になります。また予定納税にも影響します。
申告は,所得税の申告書と共に「復興特別税申告書」も提出することになります。
源泉所得税についてもこの付加税が考慮され,年末調整の対象になります。
そして所得税関係で言えば,Dの改正法案が成立すれば,
これらは,増税になるのでたぶん成立し,実施される予定(はず)です。
そして1年遅れて平成25年から,復興特別所得税がかかります。
法人税額に対する付加税:10%(24年度から26年度まで)
これは,平成24年4月1日開始する事業年度から適用がありますので,最短3月(末日)決算法人は,来年の4月からの事業年度に加算されます。解散した後の事業年度(清算予納事業年度)には適用されません。
法人税の課税対象となる人格のない社団等(PTAや同好会など一定の団体です)も対象になります。
もちろん法人税額のない場合には,復興特別法人税申告書は,提出する必要はありません。法人の場合には,利子・配当に復興特別所得税額が発生し,法人所得に復興特別法人税額が発生します。
ただし,23年度改正のうち減価償却方法の改正で法人所得は増えるでしょうが,法人税率の改正(30%→25.5%)の実施時期を遅らせて実施されれば,全体としては,あまり影響は出ないのではないでしょうか。また,震災,タイの水害や円高で法人税収の伸びはあまり期待でませんので,ここ数年は,効果が出ないかも知れません。
たばこ1本に対し1円の臨時特別税(24年10月から34年9月まで)
平成24年10月から実施されますので,在庫の課税や駆け込み需要がまたあるかも
峰崎官房参与・・たばこの問題ですが、(中略)、たばこを今から2年前に1本5円上げたときの最初の理念というのは、これからは増収を目的とするためにこれを上げるのではなくて、健康目的ということである意味では制御しようという方向を出したんですから、今回こういう形で増税されるというのは、党でもいろいろ議論されたと思うんで、それはそれで私自身もある意味では仕方ないのかなと思うんですが、この点については税調の場で議論をされるのがいいのか。あるいは厚生労働関係の方で議論されるのがいいかは別にして、早く理念のところを整理しておかないと、いつもたばこが増税の材料として使われていくというのは、もうそろそろ時代の環境に合わなくなってきているのではないかと思いますので、どちらかでもいいですから、整理をしていただきたいということだけ申し上げておきます。(平成23年10月11日同議事録) |
その通りだと思いますし,世界の動向も視野に入れた議論が必要です。
個人住民税の均等割の税率が次のよう様に引き上げられます。
年額4千円(道府県民税千円+市町村民税3千円)が500円引き上げられ4,500円(道府県民税1,200円+市町村民税3,300円)となる予定です。
省略
Shonan Tax Office
(http://www.shonantax.jp/)
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税理士制度−20
資格には,いろいろな資格があります。それは,その資格の専門性を確保して安全で安定したサービスを提供するために用意され,目的のない資格はありません。公認会計士制度は,証券市場の公共性及び透明性を確保し,投資家の信頼を得られる市場を確立するために,重要な責務を負っています。特に海外に資金の調達を図る企業にはますます重要になっています。一方で公認会計士資格を有すれば,登録することによって税理士資格を付与することができるようになっています。
それは,税理士制度創設時を見れば分かるように,戦後,シャウプ勧告で従来の制度を近代化し,その時に米国では,会計士,弁護士が税務を担っていましたので,制度のない税理士制度についてもそれぞれの資格者に一翼を担わせようとしました。それによって税理士制度も発展したことも確かです。
しかし,一方でそれぞれの専門性の確保は,それほど生やさしいことでないため,資格のもつ目的のために努力してきました。
平成14年(2002年)に破綻したエンロンの影響で,市場に監査に対する不信感を抱かせ,我が国でも平成15年に制度の改革に着手し,
公認会計士及び監査法人に対する監視監督の機能の充実強化や公認会計士試験制度の見直しを図り,公認会計士の質を確保しつつ多様な人材を輩出していくために増員を図ることになりました。質の強化が何故増員と結びつくのかよく分かりませんが,優れた人材の確保に役立つと考えたようです。
そして,税理士試験合格者の4倍にのぼる公認会計士合格者は,受入の場のなさから本来の目的と違う方向に向かい始めました。
編集後記 寒いかと思えば,ポカポカ陽気で体調を崩された方も多いと思います。早めのパブロンではありませんが,ひどくならないうちに直してください。今年の年末が手の届くところに来てしまい,残すところ僅か。もう,ひと頑張りしましょう。ガンバレ日本!!被災地に安心できる生活を!! 編集発行 株式会社プランニングファイブ
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