P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.253   
 

 
平成22年10月1日
 
民間給与
 

 また、暑い話から。

 10月になっても暑い日が続き、半袖をなかなか仕舞えません。未だに、時々クーラーも付ける有様です。

 十五夜、すすき、中秋の名月などという秋を連想させてもらえるのは何時のことやら。昼間は真夏が続いています。そういえば、赤とんぼも最近では、見かけなくなりました。

 

 先月9月の終わりに、国税庁から

 これには、民間の給与所得者だけでパート・アルバイトは入りますが、日雇い労働者は含まれません。また、通勤手当等の非課税部分も入っていません。もちろん1千万人とも言われている国家公務員、地方公務員や準公務員は、この対象外です。

 この調査は、民間の年間給与実態を各種規模別に明らかにして、併せて租税収入を見積もることを目的としています。収入の見積もりを出すのなら公務員も併記すべきだと思うのですが。

 1年を通じて勤務した・・

給与所得者数は、4.5千万人(全体5.4千万) (男2.7・女1.8 対前年比1.8%減)

給与総額は、180兆円(全体190兆円)  (同7.2%減、過去最大下げ幅)

平均給与は、406万円(全体360万円)  (対前年比5.5%減)

 内訳は、 平均給料・手当350万円+平均賞与56万円

源泉所得納税者は、3.7千万人  (対前年比4.0%減、割合は82%)

その税額は、7.1兆円  (同16.7%減、昭和59年と同水準)

年末調整を行った人 4.1千万人  (配偶者・扶養控除適用者1.6千万人)

 です。

  給与収入別構成比率
 100万円以下   9%
 〜 300万円以下   33%
 〜 500万円以下   32%
 〜 800万円以下   18%
 〜1千万円以下   4%
  1千万円超   4%
  合   計   100%
400万円以下の方が、全体の6割を閉めています。

 

 ちなみに国家公務員の平均給与は、600万円だと言われています。地方公務員300万人については、それより若干下がるようです。国家公務員給与については人事院が、地方公務員については総務省がそれぞれ調査結果を出していますが、公開資料と言うより内部管理資料としての意味合いが強いためか、民間と比較できるような、欲しい資料は手に入りませんでした。

 










 

10月の税務・総務予定
 

(税務)
特別農業所得者への予定納税額の通知     15日まで
*個人住民税第3期分の納付            通常月末
 

(総務他)
*秋の厚生事業実施

 

 

 

【23年度税制改正要望】

 税理士会を含めて各種団体から、次年度の税制改正要望が出ています。

 

 ★経団連では、「経済の活性化に向けて、法人税負担の実質的な軽減を図るほか、研究開発促進税制の拡充、企業の実態・実情に即した国際租税制度の整備、年金税制の改革等に取り組む必要があり、環境税の安易な導入には反対である」とした提言を行っています(2010.9.14)

 概略は、法人税関係では、法人税負担の軽減として法人税率の5%の引き下げ(30%を25%にする)、税収増を目的とした十分な検討を伴わない安易な課税ベースの拡大を懸念したものとなっています。

 移転価格税制については、事前確認制度および相互協議の一層の迅速化、効率化を行うべきだとしています。また、償却資産税について、「国際的にみて稀な課税でもあり、縮減・廃止を図るべきである。・・平成19年度税制改正における減価償却制度の抜本改革を踏まえ、残存価額の廃止等、国税の課税標準の計算方法との整合性を図るべきである」としています。手厳しい。

 国際会計基準(IFRS)に関連して、「国際会計基準の動向が課税ベースの拡大等、わが国法人税における課税所得計算に大きな影響を及ぼさないよう、実務への影響にも考慮しつつ、企業の国際競争力強化の視点から、個別会計基準のあり方については連結先行の趣旨を十分、踏まえるとともに、税制上の対応を図る必要がある」としています。会計と税の分離が明確な米国でも、この問題については影響を少なからず受けるのではないかと懸念されていますので、我が国ではなおさら神経質になっているようです。

 他にも色々とありますが、印紙税について、「近年、インターネット電子商取引が一般化し、経済取引のペーパーレス化が著しく進展する中、紙を媒体とした文書のみに課税する印紙税は合理性が失われており、公平性の観点から廃止すべきである」としています。印紙税の税収は,毎年1兆円。非常に安定した税収であることを思うと、その一部でもなかなか廃止は難しいと思いますが、消費税率を上げるときには、面白い要望となるかも知れません。

 

 ★法人会の提言は、大きく分けると法人税制と事業承継税制の見直しです(2010.9.24)

 法人税制関係では、法人税率の引き下げを謳っていますが、現行の法人税の実効税率40%から30%以下へ引き下げと中小企業の法人税の軽減税率18%の恒久化を求めています。

 また、昨年度に新設された事業承継税制については、「事業用資産の課税を軽減あるいは控除する欧米の制度に比べると内容、要件等が不充分であり、本格的な事業承継税制と呼べるものではない。特に、自社株の課税価格の80%に対応する相続税を納税猶予する制度については、@原則として中小企業基本法で定める中小企業が対象となること、A事前に経済産業大臣の認定、適用後に経済産業大臣、税務署長への報告等手続きが煩雑なこと、B5年間、雇用(厚生年金および健康保険加入者をベース)の8割以上を維持すること、C原則として死亡時まで株式保有しないと納税猶予とならない等、厳しい条件が課されている」としてさらなる改正を求めています。今までも税制で対応しようとする場合に、まず使い辛いものを新設して、後で少しづつ手直しする方法は良くあります。しかし、このために折角良い制度でも効果が薄く、当初の目的を台無しにしかねません。

 

 ★税理士会では、「平成23年度・税制改正に関する建議書」が出されています(2010.6.24)。多岐にわたっていますが、大枠は、@給与所得者に対しては、高額給与所得者の給与所得控除に一定の限度額を定め、給与所得者に対する課税については、年末調整と確定申告との選択性とする。また、特定支出控除を拡充し給与所得者が確定申告を行う機会を増やす。

A土地・建物等の譲渡により生じた損益について、損益通産及び繰越控除を認める。B不動産所得に係る損益通産を制限する特例措置は、早急に廃止する。C消費税の基準期間制度を廃止する。D納税者権利憲章(仮称)を制定する。E電子政府の推進のために協力をした電子申告利用者に対して、インパクトのあるインセンティブを実施する。F全ての市区町村に対して電子申告が可能となるように早急に整備を図る。      などです。

 高額給与所得者の給与所得控除に一定の限度額を定めるについては、前から言われているところです。給与所得控除額とは、必要経費みたいなもので、どんなに高額な収入があっても、5%の必要経費が認められている現状はおかしいだろうという話です。ただし、ある収入以上には必要経費は増加しないという理屈が成り立つかどうかは疑問のあるところです。

 

一部省略

 

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税理士制度−9

 前回は、税理士試験免除の話をしました。この続きを。

昭和26年の税理士制度への改組は、税務代理を行として行う税理士は、納税者に法律に従って正しく指導するとともに法律に基づく公平な運用をチェックする機関と位置づけていました(昭和26年3月31日衆議院大蔵委員会主税局長答弁)。このため税理士業務を行うときは、税務官庁に資格のあることを証明する必要があり、税理士登録が求められました。

 弁護士については、それまでは弁護士は弁護士法によって、当然に税務代理士を営むことができるという規定があり(弁護士法3条A)、税理士法が通過すると、税理士が新たにできますので,これをいかに調整するかが図られ、修正案として税理士法51条に、弁護士は、税理士の登録を受けることなく、所属弁護士会を経て,国税局長に通知することにより、その国税局のの管轄区域内において,随時、税理士業務を行うことができるとして,いわゆる通知弁護士制度が定められました。

 このため、通知弁護士は、代理の権限の明示(30条)、署名押印の義務(33条)、懲戒処分の対象(44条)やもちろん脱税相談の禁止(45条)など税理士と同様に処分の対象となります。これに対する国会審議の答弁では、「税務官公署としてははたして、税理士業務を行うことのできる人であるかという判定に苦しむような場合が生ずるのではないかと考える。そこで、通知を受けた場合には・・国税局長から何らかの通知を受領したという証明書をその弁護士で税理士業務を行うものに託し、・・税理士業務を営まれる方は、・・その証明書を提示していただくことによって,円滑に税理士業務をやっていただく」としています(昭和26年5月28日衆議院大蔵委員会 泉大蔵省主税局調査課長答弁)

 税金という国の根幹に関わることですので、税理士制度の趣旨に乗っ取った対応が取られましたが、登録が無い分、懲戒処分の対象になる登録取消処分はありません。平成20年度で,通知弁護士は2,500名に昇り,年々増加しています平成20年度国税庁統計年報349頁。また、登録している弁護士は400人弱で、6倍以上は通知弁護士になっています。

このあとは、また次回。

 
一部省略
 

編集後記

 10月になっても暑い日が続き,紅葉はいつ頃になるのでしょうか。気温も一日に10度も違うときがあったりします。どうぞ夏風邪?に気をつけてください。今月も発行が遅くなってしまいました。月末・月初の予定は判っているのですが、月が替わらないとどうも書き始めることができません。    

 編集発行 株式会社プランニングファイブ