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令和3年12月1日

会計検査院報告
 


 年末にきて、コロナウイルスにまたまた新しい変異株が出てきました。オミクロン(Omicron variant)とよばれ、正式には、B.1.1.529(the SARS-CoV-2 variant)と言うそうです。

 この変異株は、先月(11月)24日に南アフリカで報告され、丁度、世界では感染の拡大期とも重なりパニック状態に陥ったのか、多くの国で全面的な渡航禁止令を出しています。本当のところは今月半ば過ぎでないと、はっきりしたことは分からないそうですが、我が国もいち早くというか世界に先駆けて30日午前零時から外国人の新規入国を原則禁止しました。珍しく海外のニュースで取りあげられました。

 このウイルスも、昨年から「アルファ(B.1.1.7)」「ベータ(B.1.351)」「ガンマ(P.1 )」「デルタ(B.1.617.2)」と続き、今度はオミクロンです。
 28日のオミクロン株の感染が確認された南アフリカのシリル・ラマポーザ(Ramaphosa)大統領は28日のテレビ演説で、南アフリカを対象とし渡航禁止措置が執られていることに反発して、この措置は正当化することが出来ず、科学に基づいていないと語っています。南ア国内では新たな規制措置は導入しないとし、ワクチン接種を高めることが最善の策だと訴えていました。そういえば昨年、英国で変異株を公表したのが丁度1年前。クリスマスに向け再度規制をせざるを得ずに出てきたのが変異株でした。今回も同じようなタイミングです。

 アメリカの製薬会社ファイザーが新型コロナウイルスワクチンを開発したと公表したのも昨年の11月。まだ1年しか経っていません。変異株とワクチンの話題は毎年繰り返されそうです。




  COVID-19 我が国と世界の月別推移比較(WHO










12月の税務・総務予定


(税務)
*給与所得の年末調整
(原則)本年最後の給与の支払日前日まで
*固定資産税・都市計画税(第3期分)の納付期限    通常月末
  (東京都 R3年12月27日、横浜市・茅ヶ崎市 R4年1月4日)

(総務他)
*年賀状の発送
  (事務所ではP5NEWS代用)
*年末ボーナスの支給

(緊急事態宣言・まん延防止等重点措置)
    10月1日から全国解除

 

 

 会計検査院は、令和2年度決算検査報告を作成し、令和3年11月5日これを内閣に送付しました。今回は、大きな金額を占める新型コロナ感染症対策費に係る予算執行状況に多くの報告がなされています。

 報告書中の指摘金額は、2千億円で、210件。件数は多くないのですが、金額は平成28年以降最高です。なお指摘金額とは、租税などの徴収不足額、工事や物品の調達の過大な支出額や補助金の過大交付額です。

 その中で大きいのは、独立行政法人住宅金融支援機構の13億円(前年17億円)です。金額が大きくなるのはやむを得ない面もありますが、ここで実施されている賃貸住宅融資は、住宅を借りて入居する人の保護を図る目的で行われています。そのため、敷金は家賃の3か月分以内、礼金、更新料を受領することを賃貸の条件としてはならないなど、賃貸条件に制限が設けられています。この制限に違反した事例がありました。不当とされた13億円は、貸付金残高です(「令和2年度決算検査報告(概要)」104頁)。

 税金が絡んだところでは、財務省に対する是正措置の指摘として、所得税の申告における倒産防止共済特例の適用で、共済金の掛金を経費計上する場合には、明細書の添付が必要とされていますが、周知されていないものがあったようです。この要件は、税負担の軽減に見合う政策効果が期待出来る場合に限られているため、納税書の意思表示を明確にして貰うためだとしています。

 また、租税の徴収に当たり、徴収不足があったものとして、報告書では平成25年から令和2年度までの不当と認められる徴収不足額は、1億5千万円で、

 申告所得税  4,400万円、

 法人税    5,100万円、

 相続・贈与税 1,400万円、

 消費税    4,600万円です

 (「令和2年度決算検査報告(本文)」73頁)。

 報告書では、次の事例が掲載されていますので、その概要を紹介します。

 (事例1)譲渡所得で長期、短期の消費税等の還付金を総収入金額に算入していなかった事態

 納税者Aは、平成28年分の申告に当たり、不動産所得の総収入金額を2,400万円とし、この金額の中に消費税等の還付金はないとし、この金額から必要経費等を差し引き不動産所得の金額を300万円としていた。

 しかし、納税者Aは不動産所得に係る収入、経費の各項目の金額に消費税等を含めた経理を行っており、また、28年4月及び同年7月に納税者Aに対して消費税等の還付金計1,400万円が支払われていた。この消費税等の還付金を不動産所得の総収入金額に算入していなかった。税務署において課税資料の収集及び活用が的確でなかったなどのため、申告所得税額400万円が徴収不足になっていた。



〈事例2〉交際費等の損金不算入額の計算を誤っていた事態

 医療法人Bは、平成28年6月から令和元年5月までの3事業年度分の申告に当たり、支出する交際費等の額は、平成29年5月期分(29年分。以下同様)796万円、30年分798万円及び令和元年分798万円で、各期とも定額控除限度額以下であるとして交際費等の損金不算入額はないとしていた。

 しかし、医療法人Bは、資本又は出資を有しない法人に該当し、医療法人Bの貸借対照表等に基づいて資本相当額を計算すると各期とも1億円を超えるため、上記各期の交際費等の額のうち接待飲食費の額の100分の50に相当する金額を超える部分の金額は損金不算入になる。この金額は、平成29年分から700万円、630万円及び590万円となっていたが、これを見過ごしたため、法人税額で平成29年分160万円、30年分150万円及び令和元年分140万円、計450万円が徴収不足になっていた。


〈事例3〉受取配当等の益金不算入の対象とならない証券投資信託の収益の分配金を受取配当等
  の益金不算入の対象としていた事態

 C信用金庫は、平成28年4月から31年3月までの3事業年度分の申告に当たり、その他株式等に係る受取配当等の額の100分の50相当額と非支配目的株式等に係る受取配当等の額の100分の20相当額との合計額である29年3月期分9,400万円、30年分1億4,600万円及び31年分1億6,600万円を受取配当等の益金不算入額としていた。

 しかし、C信用金庫の法人税の申告書の受取配当等に関する資料等によれば、この非支配目的株式等に係る受取配当等の額には、受取配当等の益金不算入の対象とならない証券投資信託の収益の分配金が含まれていたことから、当該事業年度分の所得の金額が過小となっているのに、これを見過ごしたため法人税額29年3月期分170万円、30年3月期分350万円及び31年3月期分450万円、計970万円が徴収不足になっていた。


〈事例4〉課税仕入れに係る消費税額の控除額の計算を誤っていた事態

 D会社は、平成29年5月から30年4月までの課税期間分の申告に当たり、課税売上割合を99.32%としていた。

 しかし、D会社の法人税の申告書に添付された書類等によれば、非課税売上高である土地の譲渡収入があり、これを総売上高に含めて適正な課税売上割合を計算すると83.24%となり、課税仕入れに係る消費税額の控除額は、同割合に基づくなどして計算すべきであるのに、これを見過ごしたため、消費税額1,300万円が徴収不足になっていた。


我が国の月別PCR検査数ワクチン接種実績








 我が国の完全(2回)ワクチン接種率は人口比77%、成人比は93%と諸外国の中でも高くなっています。感染が少なくなっているとは言え検査数は低調です。

省略

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青色申告特別控除と申告不要



 国税庁は11月26日に,ホームページ(HP)の質疑応答事例を更新しました。その中に青色申告特別控除(青色控除)に係るものを紹介します。

 年末調整をしているなど一定の給与所得者については、給与所得等以外の所得金額が20万円以下の場合に確定申告不要とされています(所法121)。申告不要の要件は青色控除後かどうかという問題です。


 私の本年分の不動産所得については、青色控除前の所得金額が29万円であるため、10万円の青色控除(措置法25条の2@)の規定を適用した場合には、不動産所得の金額は19万円となります。給与所得者であるなどの要件に該当するため確定申告書を提出しなくて良いでしょうか。


 この青色控除(控除額10万円)の規定は、青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている個人について適用を受けるものとされていますので、給与所得等の所得以外の所得金額は、10万円の青色控除の規定を適用して計算した金額により判定することとなります。
 したがって、本年分の所得税の確定申告書を提出する必要はありません。

 私の本年分の不動産所得については、青色控除前の所得金額が74万円であるため、55万円の青色控除(同25条の2条B)の規定を適用した場合には、不動産所得の金額は19万円となります。私は本年分の所得税の確定申告書を提出する必要はないでしょうか。


 この55万円の青色控除の規定は、帳簿書類に基づいて作成した貸借対照表等を確定申告書に添付した場合に限り適用されます。このため55万円の青色控除を適用しないで判定します。即ち10万円の青色控除後の金額が20万円以下になるかどうかで判定します。この場合には20万円を超えてしまいますので確定申告をする必要があります。



 7月〜11月末1週間平均の主要な国のコロナ感染者数推移(WHO)










 日本の場合は、完全ワクチン接種率は、WHO数値でもこの中で最も高くなり、感染者数、死亡者数とも低くなっています。この中で人口当たりの感染者の少ない国は、オーストラリア、インドネシアに日本です。ヨーロッパの感染者数は、人口当たりでも高くなっています。

省略


編集後記
 

 コロナ生活も丸2年が経ちました。大半は自粛という規制の中の生活で、年末になっても人数制限など息詰まる生活はまだ続きます。来年こそ、通常に戻れる年になると良いのですが、どうなることやら。そんな年の瀬ですが、皆様にとって来年が良い年になるようお祈りしています。今年もこの通信お読み頂き有り難うございました。


         編集発行 株式会社プランニングファイブ