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      SHONAN TAX OFFICE NO.357  
 




 

 
令和元年7月1日
 
慰留分侵害額請求権
 

 令和元年分の相続税や贈与税で使用する路線価などの「財産評価基準書」が、7月1日に公表されました。

 

 全国平均は前年を1・3%上回り、バブル崩壊後初の4年連続の上昇!!・・バブルの時とは全く違いますが・・

 

 都道府県別の上昇率トップは沖縄で8・3%。昨年も5・0%で、全国最高の上昇率で、上げ幅はさらに広がりました。これは沖縄・離島ブームで、観光客や人口の増加の影響だと言われています。

 

 沖縄に続き上昇率の大きいところは、東京の4・9%、宮城4・4%、福岡3・6%となっています。

 

 都道府県庁がある都市の最高路線価は33地点で上昇しました。13地点が横ばい。下落は鳥取市だけだったそうです。

 

 全国最高額は、東京・銀座の文具店「鳩居堂」前で、1平方メートルあたり4,560万円でした。

 

 事務所のあるこちらでは、昨年と比べると同じか若干高くなっています。茅ヶ崎駅北口のイト−ヨーカドーの前の路線価は1平方メートル当たり昨年は53万円で、今年は56万円になっています。なお幹線道路から少し入った中江事務所の前は,変わりません。

 

 関東では、梅雨の真っ只中。通常ですと7月20日頃梅雨明けなので、まだまだ続きそうです。

 沖縄は、6月29日頃平年より6日遅い梅雨明けでしたが、九州から本州にかけて7月も梅雨前線を刺激し各地で大雨となる予想が出ています。

 

 報道で、芸人が会社を通さずに、反社会勢力に係わる「闇営業」の問題が波紋を広げています。これですぐ思うのが、小遣い稼ぎ感覚で行ったとしたら。。この収入を個人で受ければ所得税がかかりますが、まず申告はしていないのでは無いかと思ってしまいます。反社会勢力からの収入の把握は,確かに難しいかも知れませんが、無料とは考え難く、社会問題化していることから、金額の多寡に関わらず課税が厳しく行われることになりそうです。

 

7月の税務・総務予定

(税務)
*納期特例適用者の源泉所得税の納付  10日(水)まで
*所得税予定納税額の減額申請  16日(火)まで
*所得税予定納税額 第1期分の納付 31日(水)まで
*固定資産税及び都市計画税の第2期分の納付 通常月末まで


(総務他)
*月額算定基礎届   10日(水)まで
*令和元年度労働保険の年度更新手続き
 6月3日(月)から7月10日(水)まで
*クールビズ等節電対応
   5月1日〜9月30日まで (環境省)

 
 

節税保険に対する取扱い

 

 法人税基本通達で、最高解約返戻率50%超の定期保険等は資産計上が原則になりました(R1.6.28付)。

 

 これは、今までの,長期平準定期保険等の取扱いを定める個別通達等を廃止して,新たに法人税基本通達9−3−5の2〈定期保険等の保険料に相当多額の前払部分の保険料が含まれる場合の取扱い〉が新設されました。

 

 通達では、「保険期間が3年未満の定期保険等」や「最高解約返戻率70%以下,かつ,年換算保険料相当額が30万円以下の定期保険等」の保険料については,資産計上の必要はなく,期間の経過に応じて損金に算入します。

 

 主な取扱い(税務通信3562号)
最高解約返戻率 資産計上期間  資産計上額
50%超70%以下 保険期間の
前半4割部分
支払保険料×40%
70%超85%以下 支払保険料×60%



85%超


一定の解約返戻率となる期間
当期分支払保険料×最高解約返戻率×70%(保険期間開始日から10年経過日までの期間は90%)
 
 

 民法(相続関係)の改正、いわゆる相続法の改正で、今月7月1日から施行されるものがあります。それに対する課税上の取扱いを整理しておきます。

 

1 特別寄与料

   これは、民法(相続関係)改正により,無償で被相続人の療養看護等を行った親族は,相続人に対して金銭(特別寄与料)の請求が可能となりました(民1050)。これは立法時に問題となりましたが相続人以外の人で相続人の配偶者などの親族に限定されました。なお特別の寄与をした人は遺産分割(手続き)に加わることはできません。それを認めますと相続を巡る紛争が複雑化・長期化する恐れがあることからひとまず相続人だけで遺産分割をし、その後で相続人は貢献に応じた金銭を支払うことになります。

 

 これに対して平成31年度税制(相続税)改正法では,この特別寄与料について,被相続人から遺贈により取得したものとみなされますので、この特別寄与者は相続税の申告をしなければなりません。また、相続、遺贈によって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含みます。)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されますので、いわゆる2割加算の適用を受けることになります。

 

 立法時は特別寄与者に所得税を課税するということも考えていたようですが、結局,本質は被相続人から相続財産の分与を受けることから、相続税の対象としたようです。

 

2 遺留分制度(遺留分侵害額請求)

 

 もう一つ今月から施行されるものに遺留分制度の見直しがありました。

 

 遺留分制度は、遺留分権利者の生活保障や遺産の形成への貢献を考慮し遺留分権利者の潜在的持分を認めるもので、この遺留分は,兄弟姉妹以外の相続人が民法で保障されている最低限度の相続財産の取り分で、たとえ被相続人が相続財産の全てを第三者に遺贈したとしても,相続人は遺留分減殺請求をすることで,遺留分の範囲で相続財産を取得できます。

 

 今までは、遺言で相続財産取得に恵まれなかった遺留分権利者が遺留分の権利を行使しますと、最高裁判所の判例もあり物権的効果が生じ遺贈などの一部が無効となってしまいます。このように遺留分権利者と遺贈等を受けた者との間で相続財産が共有されるなど複雑になることがあり、遺言ですぐに不動産の登記もすることもままなりませんでした。

 

 今度の改正で、少ない財産しか貰えなかった遺留分権利者は、受遺者に対してもう少し貰える権利があるとして差額の遺留分損害額を金銭で支払えと請求できることになりました(民1046)。今まで「遺留分減殺請求権」と呼ばれていたものが,今後「遺留分侵害額請求権」と呼ばれるとになります。なお注意すべき点は、遺言書による不動産登記などは、今までと相違し侵害額が決定する前でも第三者への対抗のため早めに登記する必要があります。

 

 一方、もし金銭を準備できなかったらどうするのかですが、法制審議会のこの改正の審議段階で、金銭債務の支払いに代えて遺贈などの目的財産を給付する現物給付も検討されたようですが、結局は目的財産の選択の困難さ等から採用されませんでした。また金銭の負担が過大なものとならないように,当事者の請求によって,裁判所が金銭債務の全部又は一部の支払いにつき相当の期限を与えることができることそされました(民1047D)。

 

 これに対して現物給付の場合には、税務上問題が発生します。結局、金銭の支払いができずに相続財産である不動産が分与されたときは、本来なら金銭で支払うべきところ,不動産を充てることでその支払債務を解消したという形となり、譲渡所得における「譲渡」に含まれる“代物弁済”(民法482)に当たるとしたものが雑誌に掲載されました(税経通信3562号)。

 

 この考えはあまりに硬直的だと思われます。まず遺留分の清算も結局は遺産の分配と変わらないこと、寄与分すら相続税の対象となっていることからして、相続税の対象とすべきでしょう。

 

 そうしないとまた別の問題が発生します。例えば遺産100が不動産だけだとして遺留分が20のときに、この2割を遺留分権利者と共有にすると、侵害者が所得税という負担が増えることになり、これを解決するためには,権利者の共有持分を少なくせざるを得ません。

 

  省略

 

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(http://www.shonantax.jp/)

 

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消費税が変わる−4
 

 今月も軽減税率制度に関するQ&Aからです(一部要約)。

 

Q 当店は、喫茶店営業を行っており、当店で使用することができる5枚つづりのコーヒーチケットを販売しています。なお、当店がこのコーヒーチケットと引換えに提供するコーヒーは店内で飲むことも、持ち帰ることも可能です。
 このコーヒーチケットの販売は、軽減税率の適用対象となりますか。
 
 

A 飲食店営業を営む者が飲食設備のある場所において飲食料品を飲食させる「食事の提供」は軽減税率の適用対象になりませんが、「持ち帰り」は、これに含まないものとされています。そして、「食事の提供」に該当するのか、又は「持ち帰り」に該当するのかは、その飲食料品の提供等を行った時点において顧客に意思確認を行うなどにより判定します。コーヒーチケットとの引換えによるコーヒーの提供は、顧客にそのコーヒーチケットと引き換えにコーヒーを提供した時に消費税の課税の対象となります。

 

 このため、顧客にコーヒーを提供する時に、店内飲食か持ち帰りかの意思確認を行うなどの方法により、軽減税率が適用されるかどうかを判定して下さい。

 

 店内飲食と持ち帰りの共用のコーヒーチケットでは、その発行時点において適用税率を判定することはできません。このため、例えば、店内飲食用のチケットと持ち帰り用のチケットを区分して発行するといった

対応も考えられます。

 

Q 飲食店のレジ前にある菓子の販売 は、軽減税率の適用対象 となりますか。

 

 

A 飲食店のレジ前にある菓子の販売は、単に飲食料品を販売しているものと考えられることから、飲食料品を飲食させる役務の提供に該当せず、「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となります。

 

 

Q 当店は 、ラーメン屋を営んでおります 。ラーメンの提供のほか、缶飲料、ペットボトル飲料をコップに入れず、缶又はペットボトルの まま提供していますが、これら飲料の提供は軽減税率の適用対象となりますか 。

 

A 飲食店で缶飲料、ペットボトル飲料をそのまま提供したとしても、店内で飲食させるものとして提供しているものであることから、「食事の提供」に該当し、軽減税率の適用対象となりません。

 

  省略

 

編集後記

 蒸し暑く梅雨空が続きます。梅雨が開ければ今度は、灼熱の日差しに照らされ、真夏日が昼も夜も続きそうです。最近は毎年のように長雨など厳しい気象状況で避難指示が出されるなど,各地に被害をもたらしています。これは全世界的な傾向のようです。6月までの台風の発生は、今年は少なかったようですが、これからが本番ですので大型台風には気を付けてください。

  編集発行 株式会社プランニングファイブ