P5 NEWS

      SHONAN TAX OFFICE NO.353  
 




 

 
平成31年3月1日
 
健康増進法の改正
 

 今年度も今月で終わりになり、4月からは新年度になります。新入学、新卒者の就職に、4月30日には天皇陛下のご退位(退位礼正殿の儀)と翌5月1日の皇太子殿下のご即位(剣璽等承継の儀)で平成の時代に幕が下ろされ新たな時代を迎えることになります。

 

 天皇陛下の退位後の新たな皇室は、現天皇陛下が「上皇」に.皇后様が「上皇后」となられます。そして皇位継承順位1位の「皇(こう)(し)」は、秋篠宮様です。

 

 また皇位継承に伴い、天皇皇后両陛下と皇太子一家のお住まいが入れ替わることになっています。

 

 また10月には、消費税率のアップと複数税率の開始など新たな大きな変動の年度になりそうです。

 

 先月、“節税保険”の駆け込み契約を勧める話を至る所で聞きました。

 

 これは、“節税保険”が、途中解約を前提に企業が全額損金とすることの出来る保険で、節税を煽る保険会社と中小企業のニーズが合致したことによって、販売を伸ばした商品です。

 

 この“節税保険”は,掛捨ての定期保険と謳いながらも,多額の解約返戻金の受取が可能なことから、節税を目的の一つとしていた生保業界に対して国税庁は、2月13日に節税保険の税務上の取り扱いを見直すと業界に伝え、大手保険会社は直ちに販売を自粛しましたが、外資や中小生保は、駆け込み契約を狙って販売攻勢を掛けていました。

 

 従来の保険商品の税務上の取扱いの多くは公表されている法律ではない通達で定められていましたが、この通達の変更が進められているそうです。本日(3月1日)現在は、まだ公表されていません。

 

 駆け込み契約をしたこの節税保険の取り扱いがどうなるかは、まだはっきりとしませんが、改正日以後に既に契約した商品に適用された例もありますので、駆け込み契約で期待通りになるとは限りません。念のため!!   

 

3月の税務・総務予定

(税務)
 

*贈与税の申告・納付      2月1日(金)〜3月15日(金)
 

*所得税の申告・納付      2月18日(月)〜3月15日(金)
                    所得税等振替日 4月22日(月)

*個人消費税の申告・納付           4月1日(月)まで
                    消費税等振替日 4月24日(水)


(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー・本命チョコ対策

 

 

 受動喫煙の防止を柱とした健康増進法(平成14)は15年ぶりに改正され、平成30年7月18日に可決・成立し、7月25日に公布されました(法78号)。

 

 受動喫煙(secondhand smoke exposure)による被害は、年間で1万5千人だとも言われ、世界的にも広く防止措置が講じられています。我が国でも平成17年に締結された「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約」による規制の強化が求められていましたが、本年のラクビーW杯や来年の東京オリンピックを契機として、国民の健康増進を一層図るために受動喫煙対策の強化が急務となとなり今回改正が行われました。ご存じのように今回の改正でも、未だ国際水準には及ばない内容ですが今回は、この改正の内容についてお知らせします。

 

 この「受動喫煙」は、他人のたばこの煙を吸わされることで、特に職場においては、逃れることが出来ません。

 

 このため、望まない受動喫煙の防止を図る観点から、次の措置を講じ多数の者が利用する施設等について、その区分に応じ喫煙を禁止するとともに、その施設等の管理権原者が講ずべき措置等について定めています。

 

@ 第一に、国及び地方公共団体は、望まない受動喫煙が生じないよう、受動喫煙を防止するための措置を総合的かつ効果的に推進するよう努めなければならないこととされました(法25等)。これについては、今年(2019年)の1月24日から既に施行されています。

 

A 第二に、多数の者が利用する施設等を第一種施設、第二種施設、喫煙目的施設及び旅客運送事業自動車等に区分して喫煙可能な場所を定め、何人も、その場所以外の場所で喫煙をすることが禁じられます。

 

B 第三に、多数の者が利用する施設等の管理権原者等は、喫煙禁止場所に喫煙器具及び設備を設置してはならず、喫煙可能な場所に二十歳未満の者を立ち入らせてはなりません。

 

C 第四に、現に存する飲食営業が行われている施設のうち、一定の要件を満たす施設については、受動喫煙の防止に関する国民の意識やその施設における受動喫煙を防止するための取組の状況を勘案して来年4月1日までの間、その施設の管理権原者は、施設の屋内の全部又は一部の場所を喫煙をすることができる場所として定めることができるますが、この場所には必要な事項を記載した標識を掲示しなければなりません。

 

D 第五に、後記の第二種施設等の管理権原者は、加熱式たばこによる受動喫煙が人の健康に及ぼす影響に関する科学的知見が明らかとなっていないため当分の間、その施設等の屋内の一部の場所のうち、厚生労働省令で定める基準に適合した室を加熱式たばこのみの喫煙をすることができる場所として定めることができるとされました。

 

 前記のAの各施設毎の対策については次のようになっています。

 

1.学校、病院、行政機関の庁舎等(第一種施設・法28五)

 敷地内禁煙となり、屋内は完全禁煙になりますが、屋外では喫煙場所の設置によって喫煙ができるという例外が設けられてしまいました。

 

2.事務所、飲食店、ホテル等(第二種施設・同六)

 原則屋内禁煙となりますが、喫煙専用室を設置すればこの専用室のみ喫煙が可能になります。この喫煙専用室は、受動喫煙が生じないように厚生労働省令で定める基準を満たしている必要があります(法33)。

 

 これには、経過措置として例外規定があり、完全施行日の来年(2020)4月1日においてすでに開設されている飲食店のうち個人又は中小企業で客席面積100u(約30坪)以下については除外されています(既存特定飲食提供施設)。当初は、この客席面積は30u以下にすべきとの意見もありましたが、たばこ議連等の圧力でこの部分も骨抜きとなり、既存の飲食店のうち55%がこの適用除外とされました。

 

3.喫煙を主目的とするバー・スナック等の喫煙目的施設(法28七)

 店内に飲食等をしつつ喫煙することが可能な喫煙目的室(法35)を設置することが出来ますが、客・従業員とも20歳未満のものを立ち入れないようにしなければなりません。

 

4.公共交通機関

 飛行機、バス、タクシーなどでは内部は禁煙となり、鉄道や船舶は、喫煙専用室が設置されていなければ、原則禁煙となります。

 

 また、加熱式たばこについては、受動喫煙による健康被害の科学的な知見が得られていないため紙巻きたばこと同様な規制は当分の間行われませんが、学校、病院などの第一種施設やバスやタクシーなど喫煙専用室の設置が出来ない公共交通機関では、屋内の喫煙は出来ません。

 

 本改正によって、禁煙の場所での喫煙は法的に禁止され、実効性はともかくとして、都道府県知事等の退出命令(法25の5)に従わない場合には30万円以下の過料が科されることになりました(法41)。

 

○福田政府参考人

 ・・経過措置の対象となります飲食店に該当するか否かにつきましては、飲食店営業許可の有無で判断することといたしてございます。このため、コンビニ等が飲食店営業の許可を取得しイートインコーナーを設けているような場合、資本金が五千万円以下であって、客室面積が百平米以下という要件を満たす場合には、経過措置の対象となります。

 しかしながら、コンビニ等の店内を遮蔽なく喫煙可とする場合には、店内には、二十未満の方は客も従業員も立ち入ることができなくなることとなります。現在のコンビニの実態を踏まえましても、実際にそのような取扱いをするコンビニなどは少ないのではないかというふうに考えてございます。

衆議院厚生労働委員会平成30年6月13日議事録
 
省略
 
 
P5コーナー
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百平米
 

 このコーナーは、税法関係を書く予定でしたが、健康増進法改正に伴う国会審議の内容について、ここでもう少し書かせて貰います。

 
○浜口誠君

・・飲食店においては、個人等の小規模飲食店は、客室面積百平米以下、これについては今回は適用除外という形になっております。じゃ、本当に百平米以下かどうかというのを、実際、多分保健所がこれ確認することになるんだろうと思いますけれども、どういったやり方でこの客席面積が百平米以下であるというのを確認するのか、判断するのか、具体的に教えていただきたいと思います。

○政府参考人(福田祐典君)

・・既存の小規模飲食店の取扱いを受ける店舗につきましては、本法案におきまして、当該店舗の面積などを表します書類の保存、これを義務付けることといたしてございます。加えて、省令におきまして届出を求めることとする予定といたしてございます。これによりまして保健所が把握できるようにしているわけでございますが、必要に応じ立入検査も法に基づき行うことができることといたしてございます。・・

○浜口誠君

 だから、その必要に応じてというのはどういう基準なんですかね。何かあるんですか、それ、百店舗に一店だけ抜取りで確認するだとか。何かその必要に応じてという、必要に応じての基準がもしあれば教えてください。

○政府参考人

・・施行後にいろいろ検討していく必要はあると思っておりますが、まず、具体的なところとしては、その飲食店舗が基準とは違うのではないかというような、そういった情報があった場合とか、そういった点も含めまして、必要に応じて立ち入って実際に確認をしていくということになろうかと思っています。

 今委員御指摘のように、どういう形で、その全数をとか又は抽出でやっていくのかとか、そういった進め方の更なる細かい点につきましては、法施行後の様々な運用の中での検討でいろいろと検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

(参議院厚生労働委員会平成30年7月5日議事録
 
 

 健康増進法の改正については、「特集受動喫煙防止対策の今後」法律のひろば2019.2で各方面から詳しく掲載されています。また、より理論的で・世界との関係については、三原園子「受動喫煙防止に関する一考察」関東学院法学27.1.85頁(2018)を参照ください。

 

省略

 

編集後記 新元号の発表まであと1か月。次の元号が何になるのか、気になるところですが、政府は選定まで新元号が漏れないよう気を遣っています。また今年のゴールデンウイークは、長期間になるようで、混雑の嫌いな方や予定のない人には、居場所を見つけるのは大変な大連休になるかも知れません。
  
       編集発行 株式会社プランニングファイブ