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SHONAN TAX OFFICE NO.346  
 




 

 
平成30年8月1日
 
遺言書保管法
 

 異例づくしだった7月も終わり、これから夏本番の8月に入ります。

7月は、初め(6日〜8日)の西日本豪雨による大雨特別警報が発令と23日の熊谷市での国内最高気温41.1度の有り難くない記録更新がありました。また7月25日に日本の遙か南海上で発生した台風12号は、未だに九州南部をループしながら居座っています。

 

 7月は、全国的に高温で、西日本を中心に記録的な大雨となり、気象庁は、6月28日から7月8日にかけて「平成7月豪雨」と命名しました。

 

 また、この高温の影響で、7月半ばからは熱中症で救急搬送される人が急増し、6月から7月29日までに熱中症で救急搬送された人の数は55,000人を超えたそうです。これは例年のひと夏分(6月?9月)に匹敵する多さです。

 

 消防庁が公表している7月23日〜29日にかけての都道府県別熱中症による救急搬送人員数の速報値で、最も多かったのは大阪府の1,160人(前年の同期間の2.6倍)で、2番目に多かったのは、東京都の1,146人(同、4.6倍)、そして3番目が愛知県の1,055人(同、3.5倍)とこの3都府県が突出しています。昨年の同期間では大阪府449人、福岡県427人となっていましたので、今年は特に3大都市圏に多くなっています。また、大阪府は以前より熱中症搬送人員が多いことを現しています。

 

 一方で、人口割合から見ると人口に比して大きい順に沖縄県、群馬県、福島県、鹿児島県となっています。

 

 内訳では、高齢者(満65歳以上)が50%、次いで成人(満18歳以上満65歳未満)が33% 、少年(満7歳以上満18歳未満)が15% となっています。

 発症場所では、住居が最も多く33%、次いで道路16%、公衆(屋外)14%、道路工事現場や工場などの仕事場は10%の順となっています。

 消防庁では、救急車を呼ぶかどうかの対応などが分かる救急受診アプリ「Q助」作っていますので、スマホ・PCに入れて置いてください。

 

8月の税務・総務予定
 

(税務)
*個人住民税2期分の納付 通常月末
*個人事業税1期分の納付 通常月末
*個人消費税の中間申告・納付
(中間申告が年1回必要な前年の確定消費税額が、48万円を超え400万円以下)          8月31日(金)まで
 振替納税 ・・ 9月27日(木)


(総務他)
*夏期休暇の実施

 

 
 

  「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」と「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」は、いずれも参議院で平成30年 7月6日に可決・成立し、平成30年 7月13日に公布されました(法律72・73号)。

 

 これらは相続実務に大きな影響を与える法律で、38年ぶりの大改正となった前者の相続改正法の施行日として、バラバラな期日が定められています。原則は、公布の日から1年を超えない範囲内において政令で定める日からとされていますが、遺言制度の見直しのうち「自筆遺言方式の緩和」については、6月を経過した日と早い施行になっております。また「配偶者の居住権」については、その価値評価に一定以上の時間がかかるとして周知期間を2年を超えない範囲内と長く設定されています。なお民法改正については、本通信の今年2月号に概略を載せておきました。詳細は、いずれ掲載したいと思っています。

 

 今回は、後者の「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」の自筆証書遺言書の保管制度のお話しをさせて頂きます。

 

 この法律の内容は、@遺言者が、法務局において、自筆証書による遺言書の保管を申請することができる制度を創設し、その申請手続、遺言書の保管及び情報の管理、遺言者の死亡後の相続人等による遺言書の写しの請求手続等を定め、A法務局に保管されている遺言書については、検認に係る民法の規定の適用を除外する等の措置が講じられています(衆議院法務委員会平成30年6月6日上川国務大臣の趣旨説明から)。

 

 内容を分かって頂くために国会の審議録から紹介します。

 

 自筆証書遺言に係る遺言書の保管制度を設けることとした趣旨が何なのかの質問に対して・・

 

○小野瀬政府参考人 ・・遺言書の保管法案でございますけれども、高齢化の進展等の社会経済情勢の変化に鑑みて相続をめぐる紛争を防止するという観点から、法務局において自筆証書遺言に係る遺言書を保管する制度を新たに設けようというものでございます。

 自筆証書遺言は簡易な方式の遺言でございまして、自書能力さえ備わっていれば他人の力をかりることなくみずからの意思に従って作成することができ、特別の費用もかからず、遺言者にとって手軽かつ自由度の高い制度でございます。

 他方で、自筆証書遺言は作成や保管について第三者の関与が不要とされておりますため、遺言者の死亡後、遺言書の真正や遺言内容をめぐって紛争が生ずるリスクや相続人が遺言書の存在に気づかないまま遺産分割を行うリスクなどがございます。

 そこで、遺言書保管法案におきましては、手軽で自由度が高いという自筆証書遺言の利点を損なうことなく、他方で、法務局における遺言書の保管及びその画像情報の記録や、保管申請の際に法務局の事務官が行う自筆証書遺言の方式に関する遺言書の外形的確認などにより、先ほど申し上げました自筆証書遺言に伴うリスクを軽減した制度を新設する、そういうものでございます。(衆議院法務委員会平成30年6月8日議事録から。以下同じ。)
 

 遺言書の保管を担当する遺言書保管官は、どういう人が任命されるのかについて・・

 

○同政府参考人・・この法案では、遺言書の保管に関する事務を取り扱う法務局に勤務する法務事務官のうち、法務局又は地方法務局の長が指定する者を遺言書保管官とすることとしております。これは、登記や供託に関する事務と同様に、独立の権限を有する行政官を専門的能力を有する職員の中から任命して、遺言書の保管に関する事務を行わせることとするものでございます。


 そういったことから、この遺言書保管官には不動産登記事務における登記官や供託手続における供託官と同様に、独任の行政官として、自己の名において完結的に処理することができるだけの高度の専門的知識及び実務経験が必要とされますために、法務省等が実施する各種研修によって民法等の関係法令に関する高度な専門的知識等を涵養し、また登記事務等の実務経験を十分に積んだ法務事務官を指定することを予定しております。

 

 自筆証書遺言に係る遺言書を法務局で保管する場合に、その遺言書について法務局はどこまでのチェックを行うのかについて・・

 

○同政府参考人・・ この制度におきましては遺言書保管官が、申請に係る遺言書が自筆証書遺言の方式であります民法第九百六十八条の定める方式に適合するか否かについて、外形的な確認を行うこととしております。具体的には、保管の申請に係る遺言書について、日付及び遺言者の氏名の記載、押印の有無、本文部分が手書きで書かれているか否かなどの形式的な確認をすることとしております。
 

 遺言者が亡くなった場合には、法務局から遺言者の相続人や受遺者らに対して遺言書を保管している旨を積極的に通知すべきではないかに対して・・

 

○同政府参考人 ・・遺言書保管所に遺言書が保管されている遺言者が死亡したときに、法務局から速やかに遺言者の相続人に対して遺言書が保管されている旨を通知する仕組みを実現することは重要であると考えております。

 そのためには複数の方法があり得ますが、最も確実な方法は、戸籍等により遺言者の死亡の事実を把握し、法務局が速やかに通知を行うということでございます。

 今後、平成32年以降に登記簿と戸籍等との連携を目指してシステムを改修することを検討しておりまして、これにあわせて、本制度につきましても、戸籍等と連携するシステムを設けることにより、速やかな通知を可能にすることを目指してまいりたいと考えております。

 なお、遺言書の保管では、法務局に遺言者自らが、出頭する必要があり、郵送等は認められません。

 
 省略
 
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e-Tax利用の簡便化
 

 平成31年1月から個人が電子申告(e-Tax)を利用し易いようにと、電子申告は、次の二つの方法に簡便化されます。

 

 一つは、「マイナンバーカード(MNC)方式」といって、従来、電子申告を利用するためには事前に税務署長へ届出をし、e-Tax用のID・パスワードの通知を受け、これらを管理・入力する必要がありましたが、この方式は、MNCを用いてマイナポータル経由又はe-Taxホームページなどからe-Taxへログインするだけで、より簡単にe-Taxの利用を開始し、申告等データの送信ができるようになります。もちろんこの方式でも、MNCとICカードリーダライタは必要です。

 

 なお、今後e-Taxを利用する場合に、マイナポータルを経由して入手した医療費情報を活用できるようにするなど、手続の簡便化に向けた取組が進められていますので、構築されると使いやすくなるはずです。

 

 もう一つは、「ID・パスワード方式」で、MNCやICカードリーダライタが普及するまでの暫定的な措置で、税務署で職員との対面による本人確認に基づいて税務署長が通知した「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載された e-Tax用のID・パスワードのみで、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになります。

 

 もちろん、利用者識別番号や電子証明書を使った従来の方法でもe-Taxによる電子申告ができます。  

 また、平成31年1月から、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」では、スマートフォンやタブレットでも所得税の確定申告書の作成ができるようになります。

 

 省略

 

編集後記

 今回も熱中症を取りあげました。熱中症は、温度や湿度が高い中で、体内の水分や塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなり、体温上昇、めまい、体のだるさ、ひどいときには、けいれんや意識の異常など、様々な障害をおこしますので、気を付けてください。


           編集発行 株式会社プランニングファイブ