P5 NEWS     

SHONAN TAX OFFICE NO.326  
 




 

平成28年12月1日
 
施工不良による損害賠償金
 

 今月号が平成28(2016)年の最終号となってしまいました。この通信は,概ね平成の年数と同じ歳を重ねてきて、来年11月号から29年目となります。

 今月号は、月初に外出が多く12月も1週終わってから,やっと書き始めています。今月は,すぐに来年新春1月号が待っていますので、これも早々にはじめないと。

 

 今年1年、何を書いたか振り返って みます。

 

1月号・・これは、新年号なので,前年の写真で綴る特集号

2月号・・ハッカー攻撃とマイナンバーの再確認

3月号・・桜前線に28年度予算について

4月号・・地価公示と施行された28年度税制改革

5月号・・熊本地震と義援金

6月号・・相続税の申告の要否と消費税の軽減税率

7月号・・公表された28年分の路線価と所得税の確定申告件数

8月号・・水不足と相続税・贈与税のマイナンバーの記載の話

9月号・・台風の上陸数と初婚や離婚率などの統計

10月号・・基準地価と消費税率引上げ時期の再延長

11月号・・消費税の転嫁拒否事例と配偶者控除
 

 なんだか,一貫性の無い内容でしたが、マイナンバーが,やはり多かったかも知れません。

 今年からマイナンバーが税務上でも必要になって、感じたことも少なくありません。

 当初は、マイナンバーをとにかく利用して貰い、通知番号の記載した資料と本人であることは、資料添付はそれ程求められず、ある程度柔軟に考えられていたはずですが、実際には、個人番号と本人確認のための写真付きの証明書のコピーを付けて提出しています。

 このいため、実務では,管理に手間が掛かるばかりでなく、従来より申告までの時間が掛かってしまっています。

 来年3月の個人の確定申告では、混乱することが予想されます。

 
 
 

12月の税務・総務予定
(税務)
給与所得の年末調整
(原則)本年最後の給与の支払日前日まで
*固定資産税・都市計画税(第3期分) の納付期限      通常月末
  (東京都 28年12月27日、横浜市・茅ヶ崎市 29年1月4日)
(総務他)
*年初の通信(年賀状の代わり)
の発送
*年末ボーナスの支給
 
 

 国税庁は、質疑応答事例をホームページ(HP)上で公表しています。昔は、役所の担当者が、その一部を書籍で出版し、それを読むことしかできませんでしたが、情報公開が徹底され、色々な情報を公開しています。

 国税庁は、11月28日に,HPに掲載している質疑応答事例について,新たに15事例(所得税:2,財産の評価:2,法人税:7,消費税:3,印紙税:1)を追加更新しました。法人税は、合併とか会社分割に係る事例が多く、ここでは紹介しません。

 このうちいくつかの概略(かなり省略・加入していますので,HPも併せてご覧下さい。)を紹介します。

 

1.マンションの施工不良に伴う耐震補強工事により損害賠償金として受領する仮住まい補償金について

 

Q. Xが居住するマンションの一部に破損が生じたため、耐震安全性検証を行ったところ、新築時の建築基準法に規定されていた耐震基準を満たしておらず、耐震安全性が低いことが分かりました。
 

 そこで、施工業者は、耐震補強工事の実施のため、マンションの居住者に一時的な退去を依頼するとともに、その居住者に対し、損害賠償金として

 @仮住まい先への転居費用、

 A転居後の家賃相当額及び

 B仮住まい先からマンショへの転居費用を支払うことになりました。
 

  Xが施工業者から受領するこのような補償金の課税関係はどうなりますか。

 

A.この補償金についてはいずれも非課税となります(国民感情から当然でしょうが)。

 所得税法上、心身に加えられた損害につき支払を受ける慰謝料、損害賠償金及び不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害によって支払を受ける損害賠償金については非課税とされています。

?この補償金については、いずれも施工不良に基因して追加的に生ずる費用の実費を補填する損害賠償金として支払われますので、不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害につき支払を受ける損害賠償金として非課税となります。

 

2.賃貸用アパートを購入した際に支払った固定資産税及び都市計画税相当額の清算金の取扱いについて

 

Q.不動産貸付業を営むYは、賃貸用アパートを購入した際、このアパートの売主に課された固定資産税及び都市計画税に相当する金額のうち、購入日以後の期間に対応する金額を固定資産税等の清算金として売主に支払いました。


  Yは、この清算金について、その全額を賃貸用アパートを購入した年分の不動産所得に係る必要経費の額に算入することができますか。

 

A.この固定資産税等清算金は、購入した賃貸用アパートの取得価額に算入されるため、その全額を購入した年分の不動産所得の必要経費の額に算入することはできません。

 固定資産税等は、その賦課期日(その年度の1月1日)における土地又は家屋の所有者を納税義務者として課されますので、所有者の異動が生じたとしても、新たに所有者となった者がその賦課期日を基準として課される固定資産税等の納税義務を負うことはありません(しかし商慣習上は、当然のように日数計算をして請求・支払をおこ行っていますが・・)。

 したがって、土地又は家屋の売主が納税義務を負う固定資産税等の税額のうち所有権移転後の期間の部分に相当する金額を買主が売主に支払う旨の合意がある場合、この合意に基づく金額の支払は、固定資産税等に係る買主の納税義務に基づくものとは認められません。

 この固定資産税等清算金についても、賃貸用アパートに係る固定資産税等の納税義務に基づき支払われるものではなく、Yと売主との間の合意に基づいて支払われるものですから、購入代価の一部として賃貸用アパートの取得価額に算入することとなり、その賃貸用アパートに係るその取得価額の減価償却費の額のみが必要経費に算入され、固定資産税等清算金の全額を購入した年分の不動産所得の必要経費の額に算入することはできません。

 

これは、東京地裁平成25年10月22日判決(証月60.11.2423)と東京高裁平成26年4月9日判決(証月60.11.2448)がありますが、当事者間の認識とはかなりずれています。

 

3.歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の評価

 

Q.地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(歴史まちづくり法)に基づき歴史的風致形成建造物に指定された建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地は、どのように評価するのですか。

 

A.市町村長は、認定歴史的風致維持向上計画に記載された重点区域(認定重点区域)内の歴史上価値の高い重要無形文化財又は重要無形民俗文化財の用に供されることによりそれらの価値の形成に寄与している建造物その他の地域の歴史的な建造物でについては、歴史的風致形成建造物として指定することができることとされています。

 この歴史的風致形成建造物の指定を受けた建造物については、原則として増築、改築、移転又は除却(増築等)をしようとする者は、増築等に着手する日の三十日前までに市町村長に届け出なければならないこととされています。

 この家屋及びその敷地は、財産評価基本通達24-8(文化財建造物である家屋の敷地の用に供されている宅地の評価)及び89−2(文化財建造物である家屋の評価)に定める登録有形文化財と同程度の法的規制、利用制限を受けることとなります。

 このことから、指定された家屋及びその敷地の用に供されている宅地については、財産評価基本通達5(評価方法の定めのない財産の評価)の定めに基づき、それが歴史的風致形成建造物である家屋及びその敷地の用に供されている宅地でないものとした場合の価額からその価額に100分の30を乗じて計算した価額を控除した金額によって評価します。(あまり無いかも知れませんが・・念のため)

 

省略

 
SHONAN TAX OFFICE
(http://www.shonantax.jp/)

 

P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
 

 来年になりますと,すぐに平成28年分の所得税の確定申告が始まります。その中で株式や不動産の譲渡について若干の改正があります。

 株式については,国外転出課税制度に係るものが多く省略します。不動産の譲渡については、重要な「空き家に係る譲渡所得の特別控除」があります。

 これは、亡くなられた方が直前まで一人で居住していた(配偶者と一緒にお住まいの家屋には適用はありません。)一定の家屋とその敷地の用に供されていた土地等を相続などで取得をした個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に一定要件の譲渡(相続開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限られます。またその譲渡の対価の額が1億円を超えるものは除かれます。)をした場合には、その譲渡に係る譲渡所得の金額について3,000万円の特別控除を適用することができます。

 すなわち4月以後の譲渡でないと適用はありませんし、亡くなる時まで居住していないとダメです。問題は、老人ホームに入居して空き家となった場合にはどうかという問題ですが,この場合もこの特例は認められないとされています(税務通信3405号)。

 家屋は、@昭和56年5月31日以前に建築されたこと、A区分所有建物ではないこと、B相続開始の直前において被相続人以外に居住をしていた者がいなかったことが必要です(措法35C)。

 また、譲渡の要件は、相続開始があった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に、

@被相続人居住用家屋を耐震リフォームし、その被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等を譲渡した場合(譲渡の時に耐震基準を満たしていれば、耐震リフォームをしなくても良いです。)又は

A被相続人居住用家屋の取壊し等後に被相続人居住用家屋の敷地等を譲渡した場合 に限られます。

 

 省略

事務所・P5より……
今年も有り難うございました。来年も宜しくお願いいたします。

 

        

  実際の事務所通信とは、若干相違しています。

 

 

 


編集後記 
今年は,こちらでは11月に季節外れの雪が降り、交通機関にかなりの影響がでました。次は新春号になります。皆様には、年の瀬を乗り切って,素晴らしい年を迎えられますようお祈りしております。  

       編集発行 株式会社プランニングファイブ