P5 NEWS     

SHONAN TAX OFFICE NO.296 
 

 
平成26年6月1日
 
宝くじ
 

 今年も間もなく梅雨入りです。昨年は5月27日でしたが、平年では6月5日頃に関東地方は、梅雨に入ります。今年は、平年並みになりそうです。早く、この事務所通信を書き上げないと,お届けするまでに梅雨になってしまいそうです。

 今月は、宝くじのお話を少し。当たったわけでもなく、理由はありません。

 宝くじには、ジャンボ宝くじ、ロト6,7やナンバーズなど色々な種類があります。宝くじは、戦後「当せん金附証票法」(昭和23年)として、地方財政資金の調達を目的として(同法1条)法律で細かく規定されています。この法律は、あまり馴染みがありませんが、最近では、平成24年にも改正されています。

 宝くじの当選価格は、発売総額の5割を超えることができないとされ、当たり券の最高金額は、原則として、販売価格の50万倍以下とされています(同法6条)。そして当せん券は、1年で時効が成立し、1年を経過しますと当せん金を受け取ることができなくなります(同法12条)。今月時効のくるドリームジャンボの1億円以上の当せん金は、3本も未換金となっています。  なお、宝くじが当せんしても所得税が課税されることはありません(同法13条)

 この宝くじ、贈与や相続でもらうことはできますが転売は禁止され、違反しますと10年以下の懲役又は、100万円以下の罰金が科されます(同法18条)

 “宝くじ公式サイト”によりますと、平成24年は、9,000億円以上販売され、

その内の47%が当選者に支払われ、40%が都道府県等に支払われています。

 競馬(競馬法・昭和23年)の場合には、馬券収入の払戻金は75%で、国庫に10%そして日本中央競馬会に15%となり、宝くじより還元率は良くなっています。

 

     宝くじ公式サイト(図省略)

 

6月の税務・総務予定
 

(税務)
*所得税予定納税の納税通知   16日(月)まで (減額申請は、7月15日まで)
*個人住民税(普通徴収)の納付    (第1期分) 条例で定める日
 

(総務他)
*給与計算 住民税額の変更
*労働保険の更新手続きは、  6月2日(月)から7月10日(木)まで
 

 

現在、法人税率の引き下げについて新聞紙上などで良く目にするようになっています。

 これについては、政府税制調査会(中里実委員長)で議論されてきましたが、税率の引き下げと共に課税ベースの拡大も主なテーマの一つになっています。この法人税改革は,以前から改革の必要性を指摘されていましたが、なかなか実現できません。税調では、今まで改革のできなかった理由として、企業利益に直結するため、利害が対立し、なかなか纏まらないことともう一つは、次のように説明されています。

「法人税改革が難しい理由の2つ目は、生活に直結しない税であるがゆえに関心が高まりにくく、国民全体の理解を得られにくいことにある。法人税率の引き下げは、家計に負担を強いて企業を優遇するかのような受け止め方すらある。

 しかし、国内に成長力のある企業が多く存在するかどうかは、雇用に直結する問題である。また、企業の成長力は賃金にも直結する。企業と家計は二分化されているのではなく、法人税率が高すぎることのしわ寄せは、何らかのかたちで家計に及ぶと考えられる。世界経済の構造が急速に変わりつつあることの危機感を共有し、広い議論を喚起しながら、法人税改革を進めることが必要である。」としています(平26.5.16・法D6-1)。

 

 税率の引き下げは必ず行われるでしょうが、課税ベースの拡大のため中小企業に対する締め付けも行われ、次のような論点が

議論の中心に据えられています。

 

 【論点】


1.現行の中小企業の基準(資本金1億円以下)では、全法人の99%が中小企業に分類されることになる。公平の観点から、この基準を数段階にする、又は引き下げるべきではないか。
 

2. 現在、中小企業に係る基準は資本金だけである。しかし、高所得の中小企業が特例措置を受けているという会計検査院の指摘に鑑み、特例措置の適用に際して他の基準を用いることが合理的な場合があるのではないか。
 

3. 軽減税率を含め多種の優遇措置が講じられている結果、収益力が低い企業が存続し、産業の新陳代謝が阻害される面があるのではないか
 イ 基本税率(25.5%)を引き下げる場合、現在の軽減税率についても必要性を再検討すべきではないか
(注)中小企業については、800万円以下の所得に以下の軽減税率が適用される
本法:25.5%⇒19%、租特法:19%⇒15%
 ロ 中小企業向け租税特別措置は、他の租税特別措置と同様の考え方で見直すべきではないか
 

4. 個人・法人間の税制上の違いによって法人形態を選択する「法人成り」については、その歪みを取り除くべきではないか。例えば、恣意的な配当の繰延べ等が行われるおそれがあることを考慮し同族会社の留保金課税は、中小企業も適用対象とすべきではないか

 

 中小企業は、課税では概ね資本金1億円を境に線引きを行っています。資本金1億円以下の法人数は、法人の99%になっています。そして、資本金1億円以上の法人が、法人税収の6割以上を担っています。そうすると5,000万円ぐらいまで下がってくる可能性はないとはいえません。

 

 全法人数(250万社)の資本金分布

   資本金

 法人割合

  100万円以下  

   8%

  500万円以下  

   48%

  1,000万円以下 

   29%

  5,000万円以下 

  12%

  1億円以下  

    2%

   1億円超   

    1%

    計    

 100%

 

 次に大きな問題は、中小企業の留保金課税の復活です。これは、受取配当の益金不算入の議論とも絡むかも知れません。

 何故、受取配当の益金不算入の制度があるかといえば、次のような例を考えてみましょう。ある会社(A社)が100の利益を出したとします。その時の法人税率等が40%だとし、残った利益を順次株主の法人に配当したとしますと、

 

         A社      B社      C社       D社
 利益      100      
60        36        22
 税         40        24 
     14          9
 残         
60        36        22         13

 

 すなわち、元々100の利益がこの4社に配当していきますと90%が税金で消えることになり、延々と繰り返せば、元々100の利益は、100%課税となります。

このため,法人に対する配当は原則として、一部益金にしないことにしています。すなわち、B社、C社とD社の受け取った配当は一部課税しないとしているのです。これを全額( 00%)課税しないとする要望もよく聞かれます。

 配当も最後は、個人の所得になりますから、その時に課税する方が理論的ですが、法人課税を止めてしまうと,長期間課税ができなくなって税収の確保ができません。法人課税に最良の方法は、なかなか見いだせませんが、議論を見ていると税率の引き下げとセットで中小企業に対する留保金課税の方向に向かうかも知れません。どの様な課税をしても理論的な説明ができないことや制度が複雑にならざるを得ないことなどから問題は少なくありませんが、今後の動向には注視しておくべきでしょう。

 

  省略

 

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マイナンバー

 昨年の8月号でも取りあげましたが、マイナンバーの利用範囲が拡大しそうです。昨年5月に成立した「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(「番号法」といわれています。)では、来年の10月から番号の通知が行われ、翌2016年から利用が開始されますが、政府のIT戦略本部のマイナンバー等分科会(金子郁容座長)では、5月16日、中間報告をまとめ、マイナンバー制度の利用範囲拡大を提言しました。

 中間報告では、マイナンバー制度の対象外となっている、同じ金融機関に複数の口座をもつ人の名寄せや本人確認、口座名義人の特定などについて、自治体と民間で情報共有することを求めています。さらに患者の診察情報についても番号で管理し、行政や民間企業が匿名のデータを共有できるような方向への提言がなされていますが、個人情報の漏洩やプライバシー侵害等に対する対策は十分とれているのでしょうか。

 また、税調のマイナンバー・税務執行DG(ディスカッショングループ)でも、税務の分野では、例えば、所得税の住宅ローン控除の適用を受ける場合、納税者は、居住の事実を証明するため、確定申告書に住民票を添付する必要がありますが、マイナンバー導入後は、それを活用して、税務署が住民票情報を照会することによって、納税者が住民票を取得し添付することを省略することや、企業等の源泉徴収義務者は、従業員に支払った給与について、@源泉徴収票を企業等所在地の税務署に、A給与支払報告書を従業員の住所地の市町村に、それぞれ提出していますが、この源泉徴収票と給与支払報告書は、同内容であることから、マイナンバーを活用して、必要な提出先に振り分けて提出されるようにすることなどが検討されています。

相続税の申告で相続人のマイナンバー管理を行えば、相続人の預金の把握にも利用されるのではないでしょうか。

 運用開始まで1年半ぐらいしかありませんが、設備やソフトの構築は間に合うのでしょうか。政府は、平成26年度予算として1,000億円規模の予算を計上し、これらはマイナンバー関連のシステムの・設計・開発にあてられます。IT業界は潤うかも。

 

  省略

 


編集後記 沖縄・奄美では、5月の初旬に梅雨入りしましたが、こちら(関東)も間もなく梅雨入りです。最近、気温も高く、早くも熱中症や夏ばてになりそう。26年度の税制改正で所得拡大税制が拡張され、雇用者の給与支給額が増加したときの、優遇措置が拡大されていますので、個人事業者も含めて給与については、気を付けておいてください。    

        編集発行 株式会社プランニングファイブ