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SHONAN TAX OFFICE NO.288   
 




 

 
平成25年10月1日
 
オリンピック商標
 

 2020年の夏季五輪が東京開催に決まり,経済効果が期待されています。景気浮揚の弾みの一つになるかも知れません。もちろん東北の復興は最優先ですが。

 今月号は,オリンピックに関連した商標問題を取りあげてみます(東洋経済2013.9.28・20頁を参考にしています。)

 新聞紙上でも取りあげられていましたので,ご存じの方も少なくないと思いますが,日本オリンピック委員会(JOC)では,

おめでとう東京”,“やったぞ東京”,“招致成功おめでとう”や“日本選手、目指せ金メダル!”などは使わせないとしています。あまり些細なことに波風を立てると,国民の期待する東京五輪に水を差すことにもなりかねません。

 さて,商標登録された五輪マークばかりでなく,外観が類似していてもアウト。また,東京五輪を想起するタイミングでの企画はダメだということで,“ウェルカム東京”や“祝2020東京オリンピック”を使用したセールもアウトになりました。

 また,“オリンピック丼”やケーキにチョコレートで五輪マークを描くのも,個人商店レベルでも抗議を受けるかも知れません。

 しかし、この境界はなかなか難しく,最終的には裁判で決着するしかなさそうです。

 なお,“がんばれ!ニッポン!”は,JOCが商標登録しています。最初に出願したのは平成10年でした。

 なお,“がんばれ”が含まれる商標は,97件も有りました。中には“がんばれ”を日清食品が,“がんばれ元気”は小学館が登録しています。但しIOCの指摘した“おめでとう東京”は,商標登録されていないようです。

 この商標も特許権や著作権にならぶ知的財産権の一つとされ,法律の保護を受けますが,“がんばれ”や“おめでとう”など、はっきり言って行き過ぎた商標だと思われるのも少なくありません。知的財産への理解度はその国の民度を示すとよく言われてますが,商標の現状はむしろ違和感を感じるものまで登録されていると思われます。商標の検索は,特許電子図書館(IPDL)

調べてみてください。

 

 

10月の税務・総務予定


(税務)
特別農業所得者への予定納税額の通知         15日(火)まで
*個人住民税第3期分の納付                  通常月末


(総務他)
*秋の厚生事業実施
*第2期分労働保険料の納付           31日(木)まで

 

 
 復興特別法人税のゆくえ
 

 政府は,消費税率の引き上げに備えた新たな経済対策で焦点となっていた「復興特別法人税」について,1年前倒しでの廃止を打ち出しています。最終的な結論は12月中に出すといっていますが,安倍総理の肝いりもあり,まず廃止されるだろうと思っています。

 これは,平成23年10月の税制調査会で議論され,3党合意で手を加えられた上で成立したものですが,二年も経たないうちに法人税のみの短縮となるのかと思うと、その当時真剣な議論がなされたのだろうかと疑問に思ってしまいます。

 当初の復興予算として,5年間で19兆円を予定していました。そのうち補正予算で6兆円。復興財源法(平成23年10月,法117号)から13兆円をまかなうこととし,復興特別法人税と復興特別所得税から次のように9.7兆円の財源を見込んでいました。

 復興特別法人税

 0.8兆円程度×3年間=2.3兆円

 復興特別所得税

 0.3兆円程度×25年間=7.4兆円

 この計算の基礎となっているのは,その期間の法人税の年間税収を8兆円,所得税を15兆円として組み立てられています。すなわち、所得税,法人税の本税が変動すれば,この計算は成り立ちません。

 ちなみに平成24年度の所得税の税収は予算ベースで13.6兆円(平成25年7月までの状況14兆円),法人税は9兆円(同9.8兆円)となっています。また25年度の予算時は,所得税は13.9兆円,法人税は8.7兆円となっています。

 平成23年の当時の議論を紹介します。

 

○内閣総理大臣(野田佳彦君) 公明党竹内議員の御質問に順次お答えをしてまいりたいと思います。・・
 

 東日本大震災の復旧復興の事業規模については、阪神・淡路大震災の際との被害規模の違いなどを勘案し、当初5年間の集中復興期間における国及び地方の事業規模について少なくとも19兆円程度、10年間では少なくとも23兆円程度と見込んでおります。・・
 

 復興財源の確保が景気に与える影響については、こうした所得税の取り組みに加えて、復興特別法人税について3年間で約2.4兆円の御負担をいただくこととしていますが、23年度税制改正における法人税の実効税率の引き下げとセットで実施すること、復興のための歳出の増加や財源を確保することによる国債への信認の確保などについても、総合して勘案する必要があると考えております。(衆議院本会議平成23年11月7日第6号議事録)

 

 このうちの復興特別法人税の0.8兆円を廃止しようとするものです。

 

○徳田委員 ・・復興特別税の趣旨についてひとつお伺いしなければならないと思っています 今回の時限的増税の措置については、今を生きる世代で連帯して負担を分かち合うという復興の基本方針と同様の考え方が示されていますしかしながら、今回の復興特別税の修正案を含めて、この考え方が本当に反映されているのかということに大変大きな疑問を持っています。
 

 復興特別所得税について、例えば給与所得者について見ると、給与所得者約4,500万人のうち、納税者は約3,700万人です。一定の所得以下の方には税負担が生じない。ということは、負担者は限定されることになります。また、この所得税は累進課税されるために、所得の多い者は復興特別所得税の負担も重くなる。中高所得者に負担が偏るわけであります。修正案によった場合においては、このような不公平感を伴う状態が25年間も続いてしまうということになります。・・
 

 復興特別法人税については、全法人の7割超が欠損法人であることから、残りの少数の法人がその税負担を担うことが想定されています。
 

 これらを考え合わせると、今般の復興特別税は、総理が示された今を生きる世代で連帯して負担を分かち合うという考え方とは全く逆に、次の世代にも負担を先送りし、特定の者に負担を集中させるという考え方と言えるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○安住国務大臣 基幹税に税負担をお願いしたということですが、包括的課税となればやはり所得税以外にないというのが現実だと思いますですから、そういう点では、給与所得者等含めて所得税の納税義務者は5,000万人でございますので、そこに何とか25年の付加をお願いする しかし、これは当初、実は政府としては10年でお願いをしましたが、与野党の協議で25年ということになりました。25年ですから、次世代にもかかるんではないかという御指摘がありますが、これは微妙なところだなと。私、今、間もなく50ですから、75までとなりますので、そういう点では、次世代ぎりぎりぐらいまで、今生まれたお子さんが大体大学院を卒業するところまではかかりませんけれども、そこからはかかってしまうと。
(衆議院財務金融委員会平成23年11月18日第4号議事録)

 

 復興特別法人税の廃止で,企業が賃金を引き上げやすい環境を整えて、経済の好循環につなげるとしていますが,上げろ上げろといってもそう簡単に上がるものではないでしょう。平成25年度の税制改正で給与等の支給の増加に係る減税は,今年の4月から適用されていますが,給与の増加部分だけでなく一人当たりの平均給与の増加も要件に入っています。試験研究費みたいにひとまず使ったら減税する方が単純明快。こちらも給与総額が増えたらひとまず一律減税で平均給与アップで追加すれば良かったものが,順番を間違えている。

 いずれにしても,復興特別法人税に手を付けるより,復興特別所得税の期間をもっと縮小した方が良いと思うのですが。

 

 省略
 
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白色申告者の記帳
 

 来年(平成26年)1月から事業所得や不動産所得などのあるあるすべての白色申告者のに対して,記帳及び帳簿の保存が義務化されます(平成23年12月改正)。

 従来は前年分などのそれらの所得が300万円以下では記帳義務がありませんでした。我々にとってみると記帳しないで計算する方が難しいのですが。

 個人の青色申告者は,統計が古いのですが(2002年),約500万人で,これには,農業所得者や不動産所得者も含まれます。農業所得を除いた事業所得者は青色・白色申告者を含めて200万人弱で,その内半分以上は白色申告者でした。景気の低迷で商工業者が増えているとは思えませんので,余り変わっていないのではないでしょうか。もちろん白色申告者でも記帳をされている方も少なく無いと思いますが,それでも100万人以上の方がこれから記帳をしなければなりません。

 この記帳の方法を、事業所得を例にご説明いたします。収入と支出を分かるように記帳しますが,白色申告については,次のような簡易な方法が認められています。

 まず,収入(売上)ですが,取引の年月日、相手方,金額と日々の売上の合計金額を記載します。申告しているのですから,やっていると思います。また,少額な現金売上や保存している請求書控等で内容が確認できれば、当然ですが,毎日の合計金額の記載でも構いません。ツケなどの掛売上は,その時の内容が確認できれば,日々の記載を省略し、現実に代金を受け取った時に現金売上として記載しても結構です。もちろん、年末には,未収金等は記載します。

 家事消費等は,年末において、消費等をしたものの種類別に、その合計金額を見積もり、その金額を一括記載します。

 仕入についても同じように記帳しますが,仕入以外の費用である雇人費、外注工賃、地代家賃などの経費は,項目ごとに区分して、それぞれその取引の年月日、内容、支払先及び金額を記載しますが,少額な費用については、その項目ごとに、日々の合計金額のみを一括記載する方法や現実に出金した時に記載し,年末に未払額などを記載することもできます。項目ごとの日計表の方が、面倒なような気もしますが・

 ちなみに税務署の納税者へのPR用のポスターで『白色だって几(記)帳面』をキャッチコピーに使用しているとのことです。座布団一枚!!

 
  省略

編集後記 

 地球温暖化の影響で海面と海水温が上昇し、今後,日本付近では大きな勢力の台風の発生が予想されています。人口の増加が地球環境を破壊しているようで,もはや打つ手はないのでしょうか。今月はオリンピック商標を取りあげました。書いていてなんと面倒くさいのか。IOCに「おかまいネグ〜」といたくなってしまいます。

      編集発行 株式会社プランニングファイブ