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     税理士中江博行事務所  NO.123
 

 
平成11年12月1日
さようなら1999年
 
 西暦1999年最後の事務所通信です。
 気がついたらもうすぐ2000年になろうとしています。90年代は不況の10年間でした。不況の故の事件も多く発生しました。金融機関や生命保険に端を発した経営者の犯罪や宗教を隠れ蓑とした重犯罪や経済犯罪が多発した10年間だったような気がします。人の心も殺伐として生命保険がらみの殺人事件も多くやり切れなさを感じました。
 わが国の不況を後目に、米国では、今世紀最大の好景気に沸いています。91年に3,000ドルだった株価も今年には1万ドルを突破しました。その原因は、米国の401K制度にあるともいわれています。401kとは、米国の税法の条文番号で、適格年金 、利益配分及びストック・ボーナス・プラン(§ 401. Qua-lified pension, profit-sharing,
and stock bonus plans. )として規定されている“退職プラン”です。これは、また確定拠出型年金といわれています。私たちが強制的に加入を義務付けられている厚生年金や国民年金などの確定給付型年金が将来の給付金額が決まるのに反し、毎年の拠出金額が決まっている年金制度のことです。米国でも従来は、今の日本と同じ確定給付型の年金が主流でしたが、会計基準の変更や運用の破綻が、今のような拠出型の年金制度になったそうです。
 そしてこれらの年金原資が株式投資に回され株価の上昇の起因ともなっていきました。
 バブル期の夢忘れがたく株フィ−バ−が感染したのか不公平な年金行政に対する反省か判りませんが、わが国でも、2000年秋から日本版401Kの導入が予定されています。
 日本版401kでは、拠出した年金資金は従業員勘定に保管され、従業員の指図に従って指定の運用機関が運用することになり、加入者が自らの意思によって資産の運用先を決めることができます。大きなリターンを得て将来の年金額を増やすこともできれば、逆に運用に失敗して年金額を減らしてしまうリスクも負います。

12月の税務・総務予定
(税務)
*給与所得の年末調整  本年最後の給与の支払日
*固定資産税の第3期分の納付  12月中で条例で定めた日通常1月4日
(総務)
*年賀状の発送
*賞与の支給
*年末調整関係資料の配付と回収
 
 また、終身雇用制や年功序列制が崩れつつあるということも、日本版401k導入背景の一つにもなっています。
 確定給付型年金では受給資格を得るまで長期間を要していたのに対し、この401kでは比較的短期間に受給資格を獲得でき、従業員は転職先へ受給権と年金資産を移管することができます。 ただし、税制をどうするのかが、導入に当たっての大きな問題で、難航し未だ結論が出ていないようです。それは、この年金が公的な年金保険の一種か貯蓄商品かといった性格づけではっきりしないところがあるからです。  確かに日本型401Kは、将来の年金額は掛け金と運用益で決まり、運用方法も加入者が指定することになっていますので貯蓄と同じではないかとも考えられますが、一方で60歳までの年金受給開始日までは、解約は認められず、その点では通常の貯蓄商品とも異なります。
 もはや社会保険制度だけでは無理でしょうから,401Kの導入もやむを得ないとした考えが大勢を占めていますので、税制の優遇措置はやはり必要でしょう。
 
 税金のお話
 早くも、平成11年分の“年末調整”の時期になってきました。
 今年の“年末調整”のポイントをお話しいたします。
 その一つは、“年少扶養親族の割増控除”です。年齢16歳未満の扶養親族にかかる控除額が、38万円から10万円が加算され48万円となりました。これは、4月の税制改正で創設されたものであり、昨年年末の扶養控除等異動申告書には「年少扶養親族」の区分はありませんでしたが、今年の「平成12年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」にはその区分がされています。また、年齢16歳以上23歳未満の扶養親族にかかる特定扶養親族控除額も5万円引き上げられて63万円となっていますので、年調事務を行う方は気をつけてください。
 もう一つは、やはり定率減税です。
 今年は、20%定率(最高25万円)減税と最高税率の引き下げが行われました。しかし平成11年4月分以降の給料では、定率減税を織り込んだ税額表で所得税が控除されていましたので年末調整の還付は少ないかもしれません。
 年末調整では、前年以前から税額控除されている住宅取得特別控除を行います。
 ただし年末調整ではなく、確定申告で還付を受けることができるものに医療費控除と新設された“新住宅ローン控除”があります。この“新住宅ローン控除”制度は、最長15年間で 最大587万5千円を減税するもので、平成
11年1月1日から平成12年12月31日までの2年間に住宅を取得して居住する人に適用されます。
 主な特徴をいくつかお話しします。
*平成10年12月31日以前に住宅を取得 していて実際に居住するのが平成11 年1月1日以降であっても適用対象 となりますが、取得後6か月以内に 居住を開始する必要があります。
*すでに現行の住宅ローン控除制度の 適用を受けている人は、新住宅ロー ン控除制度に乗り換えることはでき ません。
*新住宅ローン控除制度は、住宅ロー ンの年末残高の一定割合を所得税額 から控除する仕組みは現行制度と同 じですが、ローン残高の上限は現行 の3,000万円から5,000万円に引き上 げられ、控除率は1年目から6年目 までが1%、7年目から11年目まで が0.75%、12年目から15年目までが 0.5%となります。
*現行では「家屋に係る借入金」だけ が適用対象ですが、新制度は、その 「家屋の敷地に係る借入金」も対象 とされました。
*適用対象住宅の床面積の上限(現行 240平方メートル)が撤廃され、中古 住宅の築後経過年数要件も、緩和さ れました。
 対象になりそうな方は、還付申告の準備を始めてください。毎年1月4日に申告をされる方もいるようです。早く還付されるかも知れませんね。
 


          Corner 

 
 2000年問題 Y2K Epilogue
 今回は、2000年問題の最後のお知らせです。そこで今年最後の今回は、政府が年末年始に当たり注意を呼びかけている内容を少し紹介いたします。
 生活上の問題では、飲料水、灯油・ガソリン、医薬品等の確保を年末に準備・点検を呼びかけております。政府もまず大丈夫だろうといっていますが、少し気になるのは、金融機関の預金の引き出しです。一応、記帳と必要な分の引き出しはしておかれる方がよいかもしれません。
 コンピューターや電気機器で日付管理されているもの(FAX、電話など)は、1月になったらすぐ日付を見てください。またデータのバックアップも年末にしておいた方がよいでしょう。
 Windowsの場合には、メールアドレスなどは、c:\windows\application da-ta\microsoft などにに入ってますので、そのままコピーしておくと良いでしょう。
 パソコン教室参加の皆様、一年間有り難うございました。来年も楽しくやりたいと思っております。
1、今月のパソコン教室は、  省略

 編集後記
 1999年も残すところ後1ヶ月となってしまいました。大掃除をしたり、年賀状を書いたりとあわただしい日が続きますね。事務所の仕事も年末調整が始まると、又あわただしくなりますが宜しくお願いいたします。
 忘年会のお誘いも多いことでしょうが、飲み過ぎにはくれぐれもご注意の上、良い年末をお迎えください。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 4/DEC/1999