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     税理士中江博行事務所  NO.119

 




 

 
平成11年8月1日
盆踊り
 
 梅雨があけたとたんに,暑い夏がやってきました。でも,西日本では,梅雨明け以後も大雨による被害がでているそうで,天候がまだはっきりしません。
 日本の夏は,また,お盆の季節でもあります。昔は旧暦の7月13日から16日に掛けて行われていましたが,今では,8月のお盆にあわせて夏休みをとる企業が多くなっています。この休みに,「民族の大移動」と言われるほど多くの人々が実家に帰り,先祖の墓参りをします。先祖の霊を慰めるこのお盆は,日本人にとっては,意識するかしないかは別として,大きな行事であることに変わりはありません。旧家では,今でも門の前にナスやキュウリに割り箸などで4本の足をつけて置いていますが,これは,「お迎え馬」とか「お迎え牛」とか言われ,先祖が帰ってくるときの乗り物になるのだそうです。かわいらしい乗り物です。
 また,夏には,盆踊りが公園や学校の校庭などで開かれます。盆踊りというくらいですから,お盆の行事の一つなのでしょうが,なにか夏の終わりを告げる感じがします。
 祖先の霊を慰めるお盆と盆踊りの踊りとは,何となくしっくりいきませんが,精霊流しと同じように,祖先の精霊を慰めるという意味で鎌倉時代の一遍上人の頃から始まったようです。
 この盆踊りには豊作を願う雨乞いの踊りだという説もあって,秋の刈り入れをひかえて,祖先をもてなすと同時に豊饒の祈りを身体で表現したのかも知れません。
 いずれにしても,厳しい夏のつかの間の一時と,去りゆく夏を惜しんで秋を迎えるために盆踊りでも楽しみませんか。
 ♪♪ 踊り踊るなーら・・・ ♪♪
 どうぞお身体を大切に夏を乗り切ってください。

8月の税務・総務予定
(税務)
*個人事業税の納付   月末
(総務)
*夏期休暇における準備
*社会保険の算定基礎届の提出
 
 この通信の先月号でお知らせしましたが,8月4日に本年度の路線価が公開されますが,それに併せて財産評価通達が改正されるかも知れないと言われています。内容が具体的に聞こえてきますので,本当にあるかも知れません。
 それがどういう影響を及ぼすか分かり難いと思いますが,財産評価通達とは,相続税や贈与税などを計算するときに,土地や建物などの評価の指標となるもので,それが改正されると言うことです。
 この通達,もちろん通達ですので法律で決められている訳ではありませんが,一般にはこれで評価することになっています。バブルの前は,この通達で評価した土地の価格が実際にその後売却したときの価額よりも低かった場合が多かったことから,通常は時価(実際の通常売買価額)より低く評価されていました。
 以前は,裁判所も通達は法律ではないとしながらも,通達による評価が時価より低いことは明らかであることから納税者に不利はなく,全国一律にこの通達による一定の基準で評価することに合理性があるとして通達による評価を大筋認めておりました。
 その後バブルにより,土地の時価が見る見るうちに高騰し,土地の財産としての価値あるいは相続対策としての有利性から,土地を買いあさり,ますます土地の売買価額が高騰するという悪循環に陥っていました。その時の総量規制など不動産に対する締め付けはご存じの通りですが,相続税でも土地の評価を時価に近づけようと法律ではない通達等を改正して公示価額の8割までに引き上げたのでした。その後のバブルの崩壊は余りにもその足取りは速く,評価額が時価を超えるところも出てきてしまったのです。特に関西圏では下落が激しく大きな社会問題となりました。
 
 法律の改正は,国会による審議を経ますので時間がかかると思うのですが,この方面では,法律の改正は素早く行われました。関西の相続事案ですが,旧法では,土地や建物については購入してから3年間は購入金額を基に評価するとしていましたが,これによると相続により取得した財産以上の相続税を払うことになり,税が個人の財産権を侵害するとして争われたものでした。新聞報道もされていましたのでご記憶の方もいらっしゃると思いますが,裁判所もこの意見を大筋で認めたというものでした。賛否の意見は有るでしょうが,国会は速やかにこの法律を廃止しました(旧措法69の4)。また相続税が払えないとしてお年寄りが自殺した事件でも,期限を定めて延納から物納を認める法律を改正しました(旧措法70の10)。
 しかし,通達は法律でもないはずなのに,時代に対する対応は法律よりもむしろ遅いような気がします。
 通達によらない評価をする場合には,税務署はまず争ってきます。たとえ時価より高い評価額であろうと,この制度を守るために争ってくると思わなければなりません。
 裁判官と検事の交流や大蔵省担当官の裁判所への出向など,どうしても日本の司法制度では納税者にフェアーとは客観的には思えない事情があります。
 
 今回予想される通達の改正は,不整形地,無道路地,崖地,貸家建付地
等の補正についてとのことです。
 これらは,従来の評価通達で評価すると時価より高くなり,納税者に納得していただけない場合が少なくありません。無道路地や私道については,通常,隣接地の所有者や使用者などその土地と何らかの関係にある人としか,売買は成立しません。そこではフェアー・マーケット・バリュー(市場価格)など無いに等しいのです。それでも,通達では,更地の時価の3割とか4割しか減額できないのです。
 アパートなどの貸室に空室があった場合には,その部分については,貸家建付地として2割程度の減額をすることができないと考えられています。
 これは裁判で争われた事例からその様に考えられたのですが,裁判事例は,個別事件に対して裁判所が判断するものですが,この判決が一般的なものとして広く行き渡ってしまいました。結果だけ見るとこういうことになってしまいますが,税務行政ではこの様な事例は少なくありません。
 この事件では新築マンションで8割程度がまだ埋まっていなかった事例でした。これと,木造アパートで相続時にたまたま空室となっていた場合とでは,話が違うと思うのですが,これについて通達で明らかにするようです。 問題の本質は,法律でもない通達で税金が決められるところに有るのではないかと思っています。


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 お知らせ
 今年度,秋の旅行のお知らせです。詳細については,追ってお知らせいたしますが,概略,次のような予定になっています。
 日時は,10月23日(土)〜25日(月)の2泊3日です。
 場所は,九州(耶馬渓,湯布院,阿蘇山,普賢岳,雲仙温泉,長崎)です。
 
 会費は未定ですが,沢山の皆様の参加をお願いいたします。
 中江事務所の主催ですので,いつものような,気ままな旅行を企画いたしました。所長・事務所スタッフ一同でお世話させていただきます。どなたでもご参加いただけますので,仮の申し込みをしていただける方は,事務所までご一報ください。
1、今月のパソコン教室は、
  以下省略

 編集後記
 梅雨明け後の連日の真夏日で,夏バテ気味です。クーラーと冷えたビールが手放せなくてますます悪循環です。せめて10月の事務所の旅行に思いを馳せて気分は秋バージョンでいたいものです。皆様もお元気でこの夏を乗り切ってください。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 1/AUG/1999