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税理士中江博行事務所  NO.114
 



 

 
平成11年3月1日
地域振興券
 
 お粗末な話ですが、貴重な税金を無駄にたれ流した例として後世に残るでしょうからその概要をお知らせいたします。
 地域振興券の大きな目的とされているものは、個人消費の喚起・地域経済の活性化を図るということですが、6ヶ月経ってどれだけの結果がでたかの成果の発表を期待したいものです。
 まず、事務費を含めたこの資金は、100%国が出しますので、みなさんの所得税、法人税、消費税などから出ることになり、市町村が発行・交付事務を代行します。
 交付を受ける人は、今年の1月1日現在で、
(1)15歳以下の児童(昭和58年1月2日以降に生まれた者)が属する世帯の世帯主
(2)老齢福祉年金等の受給者など
(3)年齢65歳以上(昭和9年1月1日以前に生まれた者)で平成10年度分の市町村民税非課税の者
 などです。
 (2)の老齢福祉年金等の受給者とは、
老齢福祉年金、障害基礎年金、遺族基礎年金、母子年金、準母子年金又は遺児年金、児童扶養手当、障害児福祉手当又は特別障害者手当などを受けている方が対象になりますので、確認してください。
 交付額は、対象者1人につき2万円で、額面1,000円の振興券で交付され、市町村が取扱いを定めた特定事業者で交換することができますが、釣り銭は支払われないとのことです。また、利用可能期間は交付開始日から6ヶ月間に限られています。
 地域振興券を取り扱うことのできる特定事業者は、市町村に登録して指定を受けることになります。市町村は、自主的に特定事業者を選定することはできますが、公民館の使用料、水道料金、商品券やプリペードカードの購入、切手などの購入には使用できないとのことです。


3月の税務・総務予定
(税務)
*贈与税・所得税の確定申告 3月15日まで (振替納税の振替日 4月16日)
*個人消費税の確定申告  3月31日まで  (振替納税の振替日 4月26日)
*平成9年分所得税の更正の請求
*固定資産税課税台帳の縦覧期間  3月1日〜20日
(総務)
*ベースアップのための資料収集
*暖房機器の格納
 

 地域振興券で支払いを受けた特定事業者は、市町村の指定した金融機関等で換金を受けることになりますが、現金で交付されるのではなく、毎月一定の期日にまとめて預金口座への振替によって行われます。
 今後いろいろな問題が出てくると思いますが、交付対象者は15歳以下の児童の世帯主に交付されますので、中学を卒業して、親元を遠く離れて働きだした場合で雇用主が世帯主になっている場合や山村留学で留学先の農家が世帯主になっている場合には、そちらに支払われ、おかしな状況となってしまいます。もちろん本人が世帯主になる場合も出てきます。
 また、この地域振興券を特定事業者以外の第三者と交換、譲渡や売買は認められていません。そこで、一度に大量の地域振興券が持ち込まれた場合には、店舗側でその持ち込んだ人が本人又は代理人であることの確認を求め、確認できない場合には地域振興券の受取を拒否するように求めていますが、現実的には不可能でしょう。
 なお、この地域振興券の性格は、市町村からの贈与とされ(自治省ではそのように言ってます)、受け取った人は一時所得として課税を受けますが、通常の場合には、所得が発生することはありません。
 疑問の有る方は、直接、各市町村の地域振興券担当暫定事務取扱者(名称はどうでも良いですが・・・)にお尋ねください。
 いずれにしても、当初まともに取り合っていなかったこの様な商品券構想が実際に行われてしまいました。残念なことです。
 その上、中選挙区制に戻せなどという意見がまた出てきました。なぜ選挙制度の改革が行われたのか忘れてしまっています。あのころ、従来の選挙制度を信奉していた政治家は、政治家の資質を疑われ次々と落選し、やむを得ず??この制度が導入されました。
 刑事責任を追及されようが、政治家としてペナルティーを受けようが、なんとか最下位でも当選者に名を連ねることも可能でした。日本の有権者が世界の笑いモノにされたのは、制度の問題が多分にあったような気がします。
 比例代表制についての問題は、ここでも何度も取り上げました(97号、92号,87号)。この問題は、すり替える筋合いのモノではなく、直すべきモノです。これがきちんとできていればこんな馬鹿な法律で税金を無駄に使うこともなかったのにと思うのは私だけでしょうか。
 現在、所得税等の改正法案が国会に提出されていますが、法案成立後、施行まで期間はあまりないと思われますのでご注意ください。
 所得税の「20%の定率減税」と「最高税率の引下げ」によって、サラーリーマンに対する給与から差し引く源泉徴収税額が4月から変更になります。
 法案成立後新しい税額表が税務署から送られてくると思いますが、給与が5日払いなど月初に支払うところでは、期間が短いため果たして新しい税額表がみなさんの手元に届くのはぎりぎりになってしまうかも知れません。送られてくる税額表には気を付けておいてください。どうしても届かない場合は、税務署又は私どもの事務所にお尋ねください。
 1月から3月分の源泉徴収税額については、6月の給与で調整されることになっています。出来れば、1月から3月までの各人ごとの源泉徴収税額の累計額を出しておくと良いと思います。
 3月までの退職者の退職金についても6月に還付が受けられるとのことですが、30年勤務の方の退職金は5,100万円以上が対象となるそうです。この時期、役人でもない限りまず心配ないと退職者を安心させてあげてください。 ただし、20%の定率減税分は、前倒し還付の対象となりませんので、その部分は確定申告で精算することにはなりますが、上限が25万円ですので、他の所得が多ければ、その部分については還付を受けられない場合もあります。



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確定申告あれこれ
 
 確定申告事務をしていますと、色々と疑問に思う点が出てきます。
 確定申告に添付する給与所得などの源泉徴収票については、コピーではなく原本でお願いしますと言っておりますが、ある人が、このコピーと原本と並べてどう違うのかと質問されてしまいました。見た目で変わるところはありません。何故ならば、事務所で出しております給与受給者の源泉徴収票は、レーザープリンターと言ってコピー機と基本的には代わらない物で打ち出しております。このため、それをコピーしても確かに同じになってしまいます。 もうそろそろ頭の転換が必要になる頃なのかも知れません。
 年末調整の際に、奥様には所得がないとして配偶者控除や配偶特別控除を受けている方の奥様が、生命保険の満期金などがあるとして確定申告にこられる場合があります。この場合には、奥様の申告もさることながら、控除部分が少なくなりますのでご主人の分も申告しなければならない場合も出てきます。ダブルパンチだとは思わないで、収入があって良かったと思ってください。


 編集後記
 確定申告真っ最中で、事務所の中は書類の山です。申告関係の書類のご用意がまだの方は、急いでお願いいたします。また、土地などの譲渡や、生命保険の満期金、年金の受給が始まったなど、通常と違う所得がある方は、まずご質問ください。申告の必要がある場合もあります。申告期限に遅れますと、いろいろなペナルティが課せられますので、ご注意ください。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated:6/MAR/1999