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税理士中江博行事務所  NO.112

 




 

 
平成11年1月1日
日銀に税務調査
 
 穏やかなお正月をお過ごしのことと思います。中江事務所は、年末から年始に掛けて事務所の大掃除を行い、出したゴミが山になっていますが、やっと空間ができました。今年は整理・整頓?を心がけたいと思っております。本年もどうぞ宜しくお願いいたします。
 昨年も、景気や世の中のことで、政治に対する批判あるいは一般国民の常識にかけ離れた行政体質などに批判が繰り返され、ささやかながらその内のいくらかをこの事務所通信で紹介して参りました。批判や反省のないところに進歩はあり得ませんので今年も気が付いたことを書いて行きたいと思っております。
 元旦の朝日新聞の記事に、“日銀を税務調査−豪華社宅や幹部名義の会員権”が実質給与の可能性と報じられておりました。昨年も再三報道されていましたのでご存じの方も多いかと思いますが、日銀では全国に33カ所ある支店長社宅の内、20カ所が敷地300坪以上ある「豪邸」とのことです。東京国税局は、豪華社宅について、適正な家賃と実際の家賃との差額が支店長の給与と見なされる可能性があるとして、税務調査を進めています。昨年やっと公表された日銀の総裁年収は総理大臣の年収
(4,400万円)よりも高い5,100万円。歴代総裁の肖像画が飾られているそうですが、その肖像画の制作費は1400万円だったそうです。通貨の番人と言われる日銀の金銭感覚は完全に麻痺しているとしか言いようがありません。
 金融スキャンダルの接待疑惑で、日銀から逮捕者が出たのは昨年3月でしたが、リストラで生活不安を訴える国民をあざ笑っているのを許すのも又国民の責任なのかも知れません。
 今年も積極的に、前向きにそして楽しいイイ年(11年)にしていきましょう。

1月の税務・総務予定
(税務)
*源泉所得税の納付   11日
 納期の特例適用者で一定の場合には、20日までに納付
*支払調書・給与支払報告書の提出、償却資産の申告  月末(2月1日)
*個人住民税の納付 通常月末
(総務)
*初出式・初荷式
*年賀状の返礼、年始客の受付
 

税制改正予想
 昨年12月に自民党の税制改革大綱が発表されました。この大綱の内容は、今年(平成11年度)の税制改正の指針となり、通常、この内容で法案となり、3月末に国会で成立します。
 今回は、この改正の内容についてお話をしてみます。もちろん実際に法律が施行されているわけではありませんので、この内容のままに成立しない場合もあり、特に、政権の基盤が弱い場合や連立内閣の場合には、変更が加えられる場合もありますが、現時点では、この改正が行われるとして経済活動を考えておいてください。
1.個人の所得に対する課税の改正
*まず大きな点は、所得税・住民税を含めた最高税率が65%から50%に下げられます。何だかピンとこないかもしれませんが、たとえば、改正前では1年間の課税所得が3,000万円を超えたとしますとその超えた分について65%課税され35%しか手元に残りません。これが改正後では、50%は手元に残ることになります。5億円プレーヤーの“イチロー”や“ハマの大魔神”には、有利になり、外国に行ってプレーしなくても税制上は良くなるかも知れませんが、多くの人にはあまり関係ないと思います。
 所得税の最高税率
      現行  改正案
課税所得金額 3,000万円超 1,800万円超
 税 率   50%   37%



 
 個人住民税の最高税率
      現行  改正案
課税所得金額 700万円超 700万円超
 税 率   15%   13%



 
*税額から一定率の定率減税が行われます。
     所得税 個人住民税
税 率  20%   15%
限 度 25万円  4万円


 
 これらは、いずれも平成11年分以降の所得税・個人住民税から適用されます。
 
2.法人課税の改正が行われます
 税率   現行  改正案
普通法人  34.5%  30%
中小法人の軽減税率 25% 
 
 22%
 
公益法人・ 協同組合 25% 
 
 22%
 





 
 法人事業税の税率
普通法人   現行改正後
年400万円以下  5.6% 5%
800万円以下   8.4% 7.3%
800万円超  11% 9.6%



 
 これは、今年の4月1日以後開始事業年度から適用になります。
*なお、事業税については、税率を下げた分、都道府県の税収が減収することから、外形基準の導入が検討されます。何のことだかわかり難いくいと思いますが、今までの事業税は所得に対して課税されます。このため、景気の低迷期などでは赤字会社が多く、また所得が出てもそれほど大きくないため、税収が確保できません。そこで巧いこと考えつきまして、法人の収入金額、敷地面積や人件費などの費用などの外形から把握できる指標を基に課税しようとするのがこの外形基準(標準)課税です。確かに、赤字会社でも所在地の都道府県から公共のサービスを受けています。但し、これについては個人・法人の住民税とのバランスも考えなくてはなりません。固定資産税は個人・法人の区別なく課税されます。地方消費税が導入された今、事業税の外形標準課税は果たして緊急に必要かどうかは疑問です。
*未修業のお子さんや学生を抱える納税者に対して、若干の優遇措置がとられるようです。学生アルバイトは程々に!!
 
3、土地・住宅税制の改正ですが
*居住用の住宅を購入した場合の借入金のうち一定割合をその年の税額から控除する住宅ローン控除制度が創設される見通しになりました。
 特に興味深い点は、今まで新築住宅や既存住宅の取得に要する借入金が対象となり、その敷地部分の借入金は対象とはならなかったのですが、今度は、その敷地部分の借入金部分も対象になり、かつ、対象になる借入金が3,000万円から5,000万円までとなります。また控除期間も6年から15年間と大幅に適用期間が延長されるようです。但し、借入金を5,000万円以上もする人は、所得の大きな人しか無理でしょうし、居住開始から2年間は、改正前の方が有利になる場合があります。このため、今年の1月から3月までに居住された方については、今までの制度との選択が認められるようです。しかし、通常改正案のローン控除を使った方が有利だと思われます。
*土地を譲渡した場合の税率が変更になります。
 5年以上保有している土地を譲渡する場合の税率が次のようになるようで
す。


 
 譲渡益     現行 改正案
6,000万円以下  26% 26%
 
6,000万円超  32.5%


 
 この税率は、所得税、住民税の合計税率です。1億円の譲渡益があった場合には260万円改正案の方が税金が少なくなります。
 


          Corner 

 




 
 川 柳
 (株)P5では、経営計画策定、保険・
 不動産等の資産運用業務を行っております。
 
 もう一つ、税政改正で100万円未満のパソコンは全額一時に経費となると言う改正が予定されています。昨年全額経費とされる範囲を20万円未満から10万円未満としたばかりなのに、パソコン業界や電機業界の強い要請で、今年の4月1日以後取得の物から適用されるそうです。購入予定のある方は、4月まで待てるようであれば、それ以降にした方がいいかも知れません。
 毎度のことですが、猫の目税政、あきれかえるばかりです。
 
 昨年の川柳(朝日新聞'98年末)からいくつかを思い出します。
 お粗末な商品券構想に関連して、「ありがたや日蓮さまの透かし入り」。
 銀行の尻拭いに公的資金の導入で、「底抜けの桶と柄杓で撒く湯水」、「国有化してよと家計簿放り出し」。
 防衛庁のスキャンダルで、「平素から銭守防衛怠らず」。
 的を射すぎて笑えません。
 今年も、あまり役に立たないかも知れませんが、最新の税務情報などをお知らせしていきたいと思っております。
 
 今年もどうぞ宜しくお願いいたします。
 

 編集後記
 新しい年が始まりました。今年こそ良い年になるといいですが...
毎年のことですが、事務所は年末から新年の初めにかけて年末調整、償却資産や法定調書の合計表までの普段とは違う仕事に追われます。でも、今年も元気で頑張りますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 6/JAN/1999