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税理士中江博行事務所  NO.110

 




 

 
平成10年11月1日
Kickbacks
 
 天下り対する批判に対しては、過去何度出されたか判りませんが、一向に解決の糸口は見えません。
 天下りが問題とされるのは、天下り官僚を受け入れる業界と、政・官界のゆ着構造がはびこること。その結果、税金の無駄遣いや汚職がまかり通り、行財政改革が阻まれることにあると言われています。天下り先での高額な給与や高額な退職金の支給を受ける体質が一般の国民感情と乖離していることも大きな問題となっています。
 現行の国家公務員法では、退職後二年間は退職前五年間に携わっていた業務と密接な関係のある営利企業への再就職が禁止されています(公務法103)が、これには抜け道があって、退職後二年間は規制外の企業や特殊法人に腰掛け就職し、その後、お目当ての営利企業に天下りするのです。
 先日も、防衛庁調達実施本部を舞台とした過大請求による背任容疑で防衛庁の担当部長を始め納入業者が逮捕されました。この背後には,防衛庁から関連民間企業に、OBの天下りの受入れ要請があったとみられています。
 なお、現行自衛隊法では、総理府令によって顧問や評議員としての天下りが規制外になっていることから、この様な防衛庁背任事件の背景になったと指摘されています。
 この事件、東洋通信機が敵味方識別装置などの納入に際し、1993年までの5年間にわたって、人員や作業時間を水増しするなどの方法で代金の過大請求を行っていたとされたものです。そして、1994年にこの過大請求が明らかとなり返還させることになりましたが、OBの天下りを条件に、この返還額を17億円も圧縮したため、本来、国に戻るべきこの過大請求の金額が戻らなかったことが背任に当たるとした事件です。
 

11月の税務・総務予定
(税務)
所得税予定納税額の減額承認申請 16日
所得税予定納税額の納付 30日
個人事業税の納付   通常月末
(総務)
*賞与額の算定と年末資金計画
*年賀状の準備
*暖房機器の点検
 
 しかし、この事件は常識で理解できない点が多すぎます。細部については良く判りませんが、この内容だけからすると、過大請求と明確にすることができるような範囲のものであれば、最初から担当者に判らないはずがないこと。通常、設備調達においては役所の方が遙かに力関係は強くこの様な多額な金額と引き替えに天下り先を確保したとは思えないこと。通常、過大請求には裏があり、その分の見返りの資金あるいは資材の提供(kickbacks)がなされている場合が少なくないことなどからして、天下りの問題の他にも、本質は別にあるのではないかと疑いたくなります。
 なお参考までに、防衛庁関連では、(財)防衛生産管理協会、(財)防衛弘済会、(財)自衛隊援護協会、(社)安全保障懇話会や(財)防衛医学振興会 など、他の役所と比べるとすくない方ですが、特殊法人があります。
 
 さて、話を代えて...
 ここへきて、減税・景気刺激策として商品券による案が浮上してきました。
 この案は、景気回復へ向けて個人消費を喚起するため、政府が国民一人当たり三万円分の商品券を支給するとした「国民経済の活性化に資するための商品券の支給に関する緊急措置法案」によるものです。
 これは、即効性のある消費刺激策として提案されたもので、内容は、@政府が国民一人当たり一律三万円の商品券を支給するA日本国内のすべての物品の購入等に使用できるB有効期間は1999年1月1日から12月31日までの一年間C商品券の金額は500円、1,000円の二種類とし、釣り銭は支払わないD交付対象は1998年12月1日現在で住民基本台帳や外国人登録原票に記載されている人(日本国内に住所を有する日本国民および日本国内に居住地を有する永住資格のある外国人)E事業者の換金は郵便局、銀行などで行うというものです。
 また、消費拡大を目指している観点から、商品券は課税対象とせず、商品券の売却や担保としての提供は禁止されます。商品券支給は市町村の事務とされ、国として事務費を交付するとしており、所要財源は事務費も含めて3兆9千億円になる模様です。
 
 この商品券構想は、あまりばかばかしい案なので当初取り上げたものは少なかったのですが、党利党略のために急遽取り上げられ、法案として提出されるまでになってしまいました。確かに商品券減税というのは、アメリカのどこかの町で取り上げたというような記事を見たことがある様な気がしましたので、いろいろ調べてみたのですが、とうとう見つかりませんでした。はっきりした資料を提示できず申し訳ございません。不確かなこところでお話ししますが、規模が小さければ少しは価値があったのかも知れませんが、国の規模でこれだけ大がかりなものを僅かな間にできるとはとても思われません。 こんな減税案が成立しないように祈るばかりですが、減税の目的だけは、明確なため今までの減税法よりも気持ち?が伝わってきます。減税やたれ流しの公共投資で景気がよくなるとは思っている人は多くないはずです。
 景気を刺激するのは、プラスアルファーが必要です。商品券構想は、逆効果だと思うのですが、少なくと刺激するというイメージだけは伝わってきますので、目的に対するポイントだけははっきりして正しいのかもしれません。
 いつでも、切り札というのは、意外性と、タイミングがポイントです。この切り札の持ち合わせがないことと、使う時を逸してしまうのが今までの日本の現状なのでしょう。


          Corner 

 




 
 税務調査
 
 今月は税務調査の最盛期?です。日程の都合で、パソコン教室は、通常火曜日のところ木曜日に開催いたします。 ところで、税務調査は、申告した内容が正しいかどうかを調べるために税務署の調査官が法人や個人事業主に対して申告内容を調査するものです。この調査があるからこそ税務申告(納税)という制度が担保できるわけです。 でもそうはいっても、受ける方はあまりいい気持ちはしません。まず第一に無償で時間を割かなければならず、仕事に差し障ることも確かです。またたくさん納税していても、していなくても対応は同じで、たくさん納税していただいて有り難うございますなどといわれることはありませんし、逆に高額納税者として公表されると、勧誘が増えたり、お得意さまから嫌みを言われるのが落ちです。
 話がそれましたが、通常、中小法人の調査は当初2日間が予定され、本店などの納税者宅で行われます。法人の場合、事業内容、売上、仕入、人件費や一般経費などを重点的にチェックされます。最近は赤字法人が多いため、役員個人分の経費が入っていないか、人件費の源泉徴収はされているか、消費税の区分、記帳がされているかが調査のポイントになっているようです。

 編集後記
 早いものでもう11月になってしまいました。11月になるのに半袖でも良いこの陽気や景気の低迷には参ります。気が早い話ですが、気分一新のため今年も早々に忘年会を開催することにいたしました。どうぞ多数の方の参加をお願いいたします。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 5/NOV/1998