P5通信

          NO.106
 


 

平成10年7月1日

Pride and Election

 

 米国の第16代大統領リンカーンは、1863年にゲチスバーグにおいてあまりに有名な演説をしています。それは、「人民の、人民による、人民のための政治」との一節で、民主政治の原点を示すものとして有名です。

 日本国憲法の前文にも、「・・その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」と。リンカーンの「人民による」政治が、我が国憲法では、「国民の代表」による政治との相違はありますが、ともに国民が主権者であることを言っていることにかわりはありません。

 我が国のこの代表者を選ぶ選挙制度は、明治22年に制定され、その当時の選挙権は25歳以上の男子で15円以上の直接国税を納めた人など一部の国民にしかなかったそうです。一定年齢になれば誰でも選挙権をもつ普通選挙になったのは、大正の世も終わろうとした14年で、それも男子だけでした。フランスに遅れること77年、米国には55年、イギリスよりも7年遅れて男子の普通選挙が定まりました。

 また、女子の普通選挙は、昭和20年になってやっと実現しました。この女性の普通選挙も、大半の先進諸外国より遅れて制定されています。ただ、フランスだけは女性の普通選挙は、我が国の1年前で、どの様な理由か判りませんが、他のヨーロッパ先進諸国よりも極端に遅くなっています。

 7月12日は、参議院議員選挙の投票日です。選挙権が国民の権利か義務かなどの議論より、米粒の一票にも明らかな意思を示すことが先決です。

 フーリガンで大騒ぎする国民や無視を決め込む国民はあまりに主権者と言うには寂しい限りです。今度の選挙で初めて選挙権を得た人も、ご自分の意思で選挙権を行使して下さい。サッカーのWカップで優勝するより、そんな皆さんは遙かに大きな国家のPRIDEであることに違いがありません。

 


7月の税金予定
所得税予定納税額の減額承認申請
     15日間違い!!
同 納付        31日
源泉所得税の納付    10日
納期の特例の適用者は忘れずに!!
固定資産税第二期分納付 31日
 

 すみません。所得税予定納税額の減額承認申請については、所得税法上では、7月15日までとなっておりますが、本年度の特例措置で8月15日までに延長になりました。これに伴い、申告納税見積額の計算の基準日や、予定納税を納付すべき居住者であるかの基準日なども変更になりました。訂正してお詫びしたします。

 給与を支払っている方には、8月以後、追加の特別減税事務があります。前回2月に行いましたが、半年も経たないうちにもう減税のやり直しです。朝令暮改をするような税制は出来ないと言っていたのが、ちょっと足りないから増やす。あまりに情けない政治・行政で、書く気も起きません。税務署から送られてきた「追加特別減税のあらまし」でも読んでおいて下さい。

 事例を..ある人が、満期にお金が戻ってくる生命保険に加入して満期になったとします。例えば一時払いの保険料500万円を支払って満期に750万円受け取ったとしますと、通常生命保険金の満期返戻金や解約返戻金は一時所得となり、受け取った750万円から支払った500万円を引いて、そこから特別控除の50万円を引いた2分の1が所得になります。そうして計算した100万円を他の給与所得や、不動産所得と合算したところで課税されます。以前に銀行からの紹介で生命保険に加入され、その際銀行から借り入れして一括で払った方も少なくなかったと思います。今までこの銀行借入の利息については控除することが出来るとは理解されていませんでしたが、税務上借入利息の控除を認める方向で変わってきた様です。もちろん、明確にその借入金で保険料を支払ったという、いわゆる「ヒモ付き」となっている必要があります。例えば先ほどの事例で、保険料を支払い、その借入利息が200万円あったとしますと、一時所得は0円となりその分の税金はなくなると言うことです。

 そこで、平成9年分の所得税の確定申告で同様の事例により、借入金利息を控除していなかった場合には、税金の還付を請求できるかという問題があります。これについても一定の要件の基に認めるとした報道がありました。そのような事例がありましたら、専門家にご相談下さい。

 

 次に実際に起きたある事例を紹介しながらお話をさせていただきます。

 所得税の節税の方法の一つとして次のようなことが言われていました。

 マンションを購入してそれを貸付けた場合には、その家賃収入から減価償却、管理費や借入利息などの必要経費を差し引いたところで所得を計算します。それが赤字になるとその他の給与所得や事業所得などから差し引く、いわゆる損益通算を利用して、税金を少なくする方法が極めつけの節税策だというものでした。但しこの場合で注意しなければいけないのは、土地、建物を一括購入した場合など借入金の支払に土地の部分が入っている場合には、その利息部分は損益通算することができませんし、趣味、娯楽や保養を目的とした別荘やリゾートマンションなどの様な生活に通常必要でない資産から生じた損失の金額もまた損益通算できません。

 この事件は、1億円を超える所得のある人が(Aさんと呼ぶことにします)、岩手県のリゾートホテルの1室を購入して、すぐに、その購入先に貸し付けました。Aさんは、この物件を購入する際に、購入先から事業資産となり、ホテル事業がうまくいけばかなりの高収入になるし、そうでないとしても不動産所得の計算上、損益通算ができますのでかなりの節税になり、そのうちその物件の値上がりもあるかも知れないと言われておりました。また,Aさんは、この物件を購入することにより、客室料金の負担もなく宿泊することができるほか、無料リフト券の提供やスポーツ施設やゴルフ場の利用面の優遇等の特典を受けることができることから購入を決意したようです。

 Aさんは、案の定?この物件による不動産所得の金額が1千万円弱の赤字となったため、他の所得から差し引いて確定申告をしました。

 税務署は、この物件が、趣味、娯楽、保養の目的で生活に通常必要な資産ではないとして損益通算を認めませんでした。すなわち、不動産所得の赤字は他の所得から引けないので1千万円も所得が増えてしまいました。

 これに対して、裁判所は、納税者の購入・運用の目的(主観)はどうであれ、客観的に見れば、その不動産は、保養が目的であるとして税務署の言い分を認めました。それは、Aさんがその一室をいつでも好きなときに自由に使うことができたこともさることながら、そう判断した理由の一つとして、家賃収入が管理費の2割にも達せず、必要経費の1割にも遠く及ばないということであったような気がします。

 これについて皆様はどう思われるでしょうか。(東京地裁昭和10.2.24判決)



          Corner 

 




 

 ボ−ナス

 夏のボ−ナスで頭を悩ませている経営者も多いと思います。事務所のお客様で夏のボ−ナスの支給日で一番多いのは7月で、他に6月、8月が若干がある程度です。

 もちろん、今年のボ−ナスはとても出せないと言うところも出てきています。8月でもボーナスが出ればいい方かも知れませんし、またボーナスが出せても昨年以下になると言う話も良く聞きます。

 男性の失業者は170万人を超え、失業率も過去最高の4.3%となりリストラの荒らしが吹き荒れている時代では止むを得ないかも知れません。

 一方、公務員には、不況はありませんので、全国の大半の公務員は、6月30日に夏のボーナスが支給されたそうです。一般の公務員の平均ボーナスは昨年より2%以上増え35歳で63万円、民間企業が1%以上減少するとの予想や、民間の平均ボーナス47万円との予想からからしてもともに「官」優位が際立っています(日経6月30日夕刊)。

 あーあー、小さな政府は夢のまた夢...国民の悲鳴は永遠に届かないのでしょうか。

 

 編集後記
  7月10日は納期の特例の適用を受けている事業者の源泉所得税の納期限となっております。必要書類の早めの提出をお願いいたします。今年は、特別減税があった為昨年よりは納付金額は少なくなっているようですが、納期限に遅れますと高利貸し?並の利息を取られますのでご注意下さい。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

 

    

Last Updated: 21/JUL/1998