P5通信

          NO.105
 


 

平成10年6月1日

Shall We Dance?

 

 3月決算法人の申告期限と納付期限は、5月末日が休日であったため、今日6月1日です。

 会社を設立する場合に決算期を決める必要がありますが、大企業や、官公庁の年度と同じに3月決算にされる法人は意外と多いようです。しかし3月決算の場合には、改正税法の施行が通常4月1日からとなるため、最初に、改正の洗礼を受ける場合が少なくありません。今年度も、貸倒引当金、賞与引当金、交際費や20万円以内の資産など税額が増える改正が3月決算法人から実施されます(詳細は、前月号までをご覧下さい。)。反面法人税率は下がりますが、課税所得が数百万円とそれほど多くない法人では、増税となるかも知れません。経済情勢が未だ混迷の中、納税の確保が厳しくなると思われます。

 総務庁の発表した4月の完全失業率は、男性4.1%と昭和28年以降過去最高を記録し、米国の失業率を上回わったそうです。特に今年になってからの失業率の悪化が激しくなっているのは、景気対策が後手後手になっているからで、無策よりむしろ悪いと言う意見も聞かれます。

 来月実施される参議院の投票率は40%を切り、史上最低になるのでは無いかという報道もされています。もちろん投票しても何ほど変わるわけではないでしょうが、自分の描くイメージを信念を持って表明することはできます。

 国民も政治もよりよい生活を築くための共通の目的を持っています。同じ目的のため、正確なステップで、適度に間隔をおいてしっかりと意思表示という踊りを踊りましょう。何故ならば、私たちは同じ音楽で踊っているのですから..


6月の税金予定
所得税予定納税額の通知 15日
個人住民税の納付     月末
    特別徴収は6月はナシ
 





 

 先月18日に、昨年の申告所得税が1千万円を超えるいわゆる高額納税者が公示されました。この様な公示がどのような意味を持つのか疑問ですが、ワイドショー的趣味で少しご紹介します。

 この1千万円を超えた方は、9万4千人で、昨年より5%減少しています。バブル期の平成3年当時に18万人であった時から比べますとなんと半分近くまで減少しました。特に土地、株長者の落ち込みが顕著です。

 今年の納税額トップの方は、番付上位常連(昨年3位)の東京都江戸川区にお住まいの方で、所得税額は33億円。昨年1年間で推定66億円の所得が有ったことになります。この人は、2位以下に20億円の大差を付けたダントツの1位で、自然化粧品販売業を営む49歳の方で女性向けのダイエット食品が当たったようです。“女性向け”は、狙い目なのかも知れません。

 高額納税者上位100名のうち58名が東京に集中しています。どうでも良いのですが、東京の中でも港区が15名、新宿区が12名で突出しています。100位の中には、プロスポーツの選手(ここでの1位はイチロー、2位清原)、作家(同、赤川次郎、渡辺淳一)や歌手(同、藤井フミヤ、桑田佳祐)は一人も入っていません、タレントでは、80位に“とんねるず”の石橋氏、4位にカリフォルニア在住の小室氏が入っています。小室氏は、所得税額12億円ですが、国内に居住していない人ですので非居住者となり、わが国では国内で行った仕事や対価などの国内源泉所得のみに課税されます。ですから、国外で行った業務などから得た所得は、日本では課税されません。

 そして米国では、居住者となっているはずですから、全世界所得に対して課税されます。もちろん米国で申告した全世界所得と日本で申告した所得との二重課税をさけるため、日本で支払った所得税額は控除(Foreign tax credit)されます。

 前述しましたが、大会社では、3月決算法人が多いため、6月に株主総会を開く企業が多いようです。会社は、年1回定時の株主総会を開催しなければならず(商法234)、それも決算期後3ヶ月以内にしなければなりません(商法224ノ3AB)。そこで、多くの大法人では、今月に株主総会を開いています。それも総会屋対策のため、大体同一日に開く場合が多いようです。これらの法人では、決算が確定するのが、申告期限である決算期後2ヶ月を超えるため、税務署等に1ヶ月の納期限延長を申請して6月中に申告することになっています。但し納付額の内、通常の2ヶ月を超える期間については利子税として年7.3%がかります。これは公定歩合に連動することになっていますが、この低率時代でもなんと7.3%となっています。なお、消費税については、納期限の延長は出来ません。

 最近の株主総会の特徴は、業績の低迷や、不祥事の発覚によって長時間、発言者数の増大が指摘されています。以前の様な総会屋などのプロ株主による攪乱戦術型の発言から一般株主や、社会運動株主型の発言も少なくないようです。

もちろん、株主総会は、会社の意思決定機関として必要で法定の事項について審議する場であることからすれば、徒に混乱を引き起こす行為は戒められなければならないでしょう。しかし、株主総会は、法的に重要で、一つ間違えば株主総会の決議が取り消されることにも成りかねませんので、会社担当者は、相当な神経を使わなければ成らず、「株主総会想定問答集」も出版されています(別冊商事法務203)。

 その中から2,3の質問事項を。貴方が経営者であったならどう答えますか。(若干変更しております)

1.リストラ期にある重要な時期に、有名ホテルによる総会のために*千万円の費用を掛けるのはいかがなも のか。

2.総会日を、土、日などの休日にしてはどうか。

3.株主総会の主催者は会社か社長か伺いたい。

4.会社の社会的責任をチェックする意味から、オンブズマン制度を検討してはどうか。

5.総会後の取締役会で○○氏が社長に再任されるそうだが、同氏は、経営不振の責任者であるので、△△氏を社長に選任するようこの場で動議を提出したい。

前記回答例

1.今後慎重に検討していきたいと考えています。特に株主の出席の便宜、人数、従来からのいきさつや経費等を勘案して決めたいと考えています。(うまい答え!!)

2.ご意見として伺っておきますが、週休2日制が広く行われていることから、土日開催のための管理、人員の配置等を要することからすると、今のところ余り適当であるとは考えておりません。

3.原則、代表取締役。(法律の一般論であるので、回答の義務なし。)

4.全社的に企業の社会的責任には、充分な教育を行っているので、オンブズマン制度まで必要ないと思います。

5.誰を代表取締役に選任するかは、取 締役会で決定すべきもので、株主総会で審議すべきものではありません。不適当な動議ですので、議場に諮りません。



          Corner 

 




 

 中小企業投資促進減税

   5月中の改正により(多分、6/1官報を見ていませんので、詳細については今のところ不明です)6月1日から1年間「中小企業投資促進税制(措置法42の12)」がスタートします。

 この制度の特徴は、殆どの中小法人や個人に適用されることで、この制度を利用すれば機械装置や一定の器具備品などの資産を取得・リースした場合に、その価額の30%の特別償却(多く費用化することが出来ると言うことです)あるいは7%の税額控除(法人税、所得税の20%が限度となりますが)を受けることが出来ます。特にコンピューターなどの器具備品については、同一種類の複数台数が100万円以上ならば適用できることになりますので、30万円のコンピューターを10台買ったとしますと、300万円の7%の21万円の税額控除があることになります。20万円未満の資産の合計額が100万円以上になったときにも適用が有るかについては、今のところはっきりとは言えませんが、多分適用できるのではないかと思っています。詳しくはお後日尋ね下さい。


 編集後記
 9年度の決算申告では、前期と比べて消費税の納税額の大さにびっくりなさったことと思います。3%と5%の違いは大きいですね。今年度も交際費少額減価償却資産などは、どの法人にも当てはまる改正ですので、決算時に慌てないよう経理処理をお願いいたします。
 うっとうしい梅雨の時期になりましたが、元気にお過ごし下さい。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

    

Last Updated: 5/JUN/1998