P5通信

          NO.104
 




 

平成10年5月1日

 

GWの海外旅行

 

 ゴールデンウイーク(GW)のまっただ中。海外旅行中の方もいらっしゃるかも知れません。

 外国で買い物をすると、VATと言われる付加価値税や売上税などの別途税金が加算されるところが多くなっています。例えば、ヨーロッパの付加価値税は、標準で、フランスで18.6%、ドイツで15%、イタリアで19%と言うように買い物をする都度この付加価値税が課されます(1994年)。

 わが国の消費税も同様に取り扱われていますが、この様な付加価値税は、国境税調整といって輸出に対しては、免税ないし還付制度が採られています。このため、海外旅行者が外国で購入した一定の物品について課された付加価値税の還付を申請することができます。しかしどの程度の人が、還付の申請をされているか判りませんが、面倒なこともありそれほど多くはないのではないでしょうか。

 クレジットカード会社のVISAインターナショナルでは、付加価値税の還付用のカードを発行するサービスを今秋から始めるとのことです。当初はロンドン、パリなどの加盟店で購入したときに支払った付加価値税が、別途用紙に記入することなく、帰国後カードの決済口座に日本円で支払われるそうです。(日経98.4.28朝)

 日本では、外国人観光客の利用者の多い小売店の場合には、前もって所轄税務署長から「輸出物品販売所」(免税ショップ)の許可を貰う必要があります。

 この場合の免税対象物品は、最終的に輸出される物(国外に持ち出される物)であること。食料品、タバコやフイルムなど以外の通常生活に必要な物であること。そして購入した金額の合計額が1万円を超えることなどとなっています。

 


5月の税金予定
自動車税・固定資産税の納付
所得税確定申告の延納税額の納付
       月末(6月1日)
 

 日本でも消費税の免税(還付方法)を簡素化すれば、外国人旅行者が買い物し易くなるのではないでしょうか。

 

 消費税の話をもう少ししてみます。

平成8年度の消費税(税率3%)の税収予算額は6兆円強で、平成9年度(税率5%)は、当初9兆8千億円(補正後9兆6千億円)となっていますので、税率1%に対して2兆円程度の税収予想となっています。但し今年の2月までの累計では、前年度70%弱が今年度では60%弱となっていますので、予想以上に消費が落ち込んでいるようです。(大蔵省ホームページ「統計資料一覧」から)

 今年度2兆円の減税が実施され、これからもう2兆円の追加減税が予定されています。先の2兆円の減税では、給与所得者については、2月の給与を受け取るときに、通常の源泉徴収税額から減税が行われ、2月、3月の給与手取額が若干多かった方もいるのではないでしょうか。しかし4月の定時昇級があっても、給料が上がらないと感じた方もいるようです。これは、手取りでは、特別減税分が無くなった分だけ源泉所得税が増え昇級額分を上回ってしまい、逆に減給になったように感じられたようです。これは当然のことで、給与袋の給与の控除明細を良く見て下さい。よほど高額な給与を貰っている人でない限り、所得税より社会保険(健康保険、厚生年金など)の方が多いはずです。社会保険料が毎年上がるのに僅かばかりの減税をしても購買意欲や経済情勢に影響するはずがありません。

 所得税の現状の減税が余り効果が無いのは、扶養家族が多く月々の源泉所得税の少ない世帯にはぴんとこないこと。高額納税者には大して変わらないこと。給与所得者の所得税の課税最低限が高いことなどが挙げられます。

 同じ減税ならば、形だけの所得税の減税より、消費税の減税の方が遙かに効果的でしょう。しかし4兆円の減税として消費税率を2%下げただけでは消費の低迷が深刻なため効果は期待できず、それ以上の消費税率を下げる必要があるでしょう。

 もちろん、この減税のため公共投資分をまわさざるを得なくなり国内の企業に不利になると言う意見や税率を下げるまでの間の消費が低迷するとした意見がありますが、輸入が増えることによって産業界全体ではプラスになること。「公取」が消費税を掛けない表示を禁止するようなバカなことをしなければ、産業界は生き残りのために事前に対応するはずです。

 

 日米の所得税の比較を見てみますと、最高税率では、日本が50%(地方税を含めたとき65%)、アメリカが概ね40%(同アラバマ州45%)となっています。

 次に夫婦、子供2人、給与所得者で年収800万円の人を考えてみます。

 わが国では、給与所得控除額のような大きな控除があり、これが200万円、社会保険が80万円、人的・基礎控除で180万円の控除がありますので、これだけでも所得税は35万円、住民税は25万円です。

 一方アメリカの所得税(連邦税)の場合、奥さんに所得がないとして夫婦の合算申告を選択したとします。

 アメリカでは、日本の給与所得控除はありませんので、控除項目は多くないと思われますので、一応この項目は考えないことにします。標準控除(日本の基礎控除に当たるものです)が87万円(為替レート130円とします)、人的控除130万円となり、連邦税は90万円(ニューヨークでは州税は40万円程度)になります。

 ちなみに上記の例(給与年収800万円)で、独身者の比較をしてみますと、

日本の場合には、所得税60万円となり、アメリカの場合では、標準控除52万円、人的控除33万円となり、連邦税は150万円になります。

 この実際の税額計算は、

 (800-52-33)万円=$55,000

 ($55,000-$24,000)×28%+$3,600=

 $12,000=150万円 となります。

 

 米国では社会保険料控除はありませんが、離婚した配偶者への支払額、固定資産税、自動車税住宅ローンの金利分、州税などの控除が有りますので、前記の例の場合にはもう少し実際には少なくなるかも知れませんが、給与所得者で、高額所得者以外では日本の所得税は非常に低くなっています。

 



          Corner 

 




 

 

   初任給

 

人事院給与局編で『民間給与の実態』が公刊されています(平成9年12月)。それを見ますと、新卒事務員の初任給で大卒者18〜19万円、高卒で15万円、院卒で22万円程度になっています。これが新卒技術者になると5千円から1万円高くなります。その他医師が

35万円、薬剤師、看護婦20万円となり、医師のみ極端に高くなっています。大学院博士課程修了者でも25万円ですので、飛び抜けています。又面白いのは、新卒の高等学校の教諭は、大卒で2〜3万円も高いことです。

 その他職種別、年齢別の平均給与月額の統計も出ています。また、国税庁企画課編で『民間給与の実態』(平成9年3月発行)では、給与階級別の扶養人員なども出ています。これらはいずれも、政府刊行物販売所で購入できますが、興味のある方は、お申し出下さい。


 編集後記
 労働保険の申告、納付が5月20日までとなっております。申告書の書き方など分からない方はお早めにご連絡下さい。
GWは、日本経済の建て直しの為減税分を使って楽しくお過ごし下さい。 
 編集発行 株式会社プランニングファイブ
 

 

    

Last Updated: 3/MAY/1998