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平成21年10月1日
 
再び円高
 

 総選挙から1ヶ月がたち、政権は投手交代。新政権は、試行錯誤しながらも多方面に変化の流れを作ろうとしています。

 さて、今年もあと3ヶ月しか残っていません。もう、年末の背中が見えるようになり気がつけば、もう年賀状の心配です。

 今年1月には1ドル87円でスタートしたドル相場は、8月の97円の円安から、一ヶ月もしないうちに90円を割り込んで、88円台になり年内には85円の円高になると言われています。このままで行くと輸出に依存するわが国の企業業績の回復も危うくなってきそうです。そういえば、以前取り替えたドルは、1ドル100円を超えてたときに替えたもの。金額が少ないですが、何となく損した気に。

 

 話を戻して、前政権は借金で湯水のようにばらまきました。以前の浪費者である準禁治産者を思い出します。ここ数年で国・地方の借金は、800兆円を超えて、しまいました。薬物は、常習性があり、一度手を出すと断ち切ることができないそうですが、借金も同じみたいです。

 一時良くなったのもつかの間、次から次とよく借金を増やし続けてきたものです。税収の20年分。年収500万円の人が1億円借金をしたようなもの。地方自治体の破綻は、良く聞きますが、国はその上を行く破綻状態といえるような状況です。

 しかし散々ばらまいたのですが、どうも効果的でないものも少なくないようです。自動車や省エネ家電のエコ補助金は、あまり利用されていないというか,利用し難いために制度のスタート時では「不発」状態のようです。これらの補助金は、購入者が書類を書いて申請しなければならず、また準備不足もあるのでしょうか、6月に始まった自動車の補助金の交付実績は、4千億円の予算のうちにまだ2百億円ですから1割にも満たないそうです(東洋経済10/10、18頁)。

 










 

10月の税務・総務予定

(税務)
特別農業所得者への予定納税額の通知     15日まで
*個人住民税第3期分の納付            通常月末

(総務他)
*秋の厚生事業実施
 

 

  税金で損得があるのも変ですが、実際はいろいろな場面に出てきます。税金を考えて取引を行うことは通常です。今年売るか,来年売るか。どの制度を使ったら税金が安くなるかを考えることは、当たり前のことで、非難を受ける謂われはありませんし、税金を多く払うから“愛国者?”だというのは、もってのほか。

 

 税金の損得としてしばしばあげられるのが消費税です。資本金1千万円以上で会社を作るか、900万円の会社でスタートするのかは、消費税の納税に影響します。

 最近、耳にされているかも知れませんが、問題となっているのに払った消費税を還付して貰う方法です。

 これは、自販機を利用し課税対象の売り上げを作り出して新築賃貸マンションなどの建築で支払った消費税の還付を請求するというものです。

 これに対して、会計検査院は全国数十の税務署に提出された申告書をサンプル調査して、実態を調べたところ、こうした方法を使った還付が、平成19年に提出された申告書分だけで、約7億円分が見つかったと・・。

 検査院は「租税回避策自体は違法ではないが、法の抜け穴を利用した事態が横行するのは好ましくない」として、まず国税庁に実態調査を行うよう改善を求めた、というものです。会計検査院が指摘すると言うのは、どうかと思います。

 これは法律で税制を改正すべき内容で、現行法では認められるべきものですので、この方法は確かに可能な場合もありますが、何時もうまくいくとは限りません。逆に損をする場合も出てきます。

 

 居住用のマンションなどの賃貸住宅の家賃の場合、平成元年の消費税の導入時には課税でしたが、平成3年の改正で、消費税は非課税となりました。このため、賃貸住宅の建築費にかかる消費税は取り戻すことができなくなりましたが、消費税の還付は受けられない建築費に掛かる消費税を還付する方法として、自販機を利用する方法がとりあげられ、結構昔からいわれてきた方法です。

 たとえばアパートを5千万円(別途消費税額は250万円)で建築するとします。

 消費税の納付額は、


 
売上に係る
 消費税額
    −
 
仕入に係る
 消費税額

 
 

 で計算されます。

 そこで賃貸アパートの建築予定地に自動販売機を設置して、建築やさんに缶コーヒーを買って貰うと、消費税の課税売上が発生します。その消費税額を1万円とします(そんなに売れるわけはありませんが・・)。

 年内の入居が僅かで非課税売上となるアパート収入がほとんど無いとしますとと、課税売上割合(課税売上/(課税+非課税売上))が95%以上になり、仕入にかかる消費税額が全額控除できますので、

 1万円−250万円=△249万円となり、アパート建築費に掛かった消費税の大半が還付されることになります。

 この方法は、

@ 消費税の課税事業者になるために課税選択の届け出を行います。

A できるだけ非課税売上が発生しない年末に建物の引き渡しを受ける必要があります。

B 課税選択をすると、2年間は課税となりますので、翌年の消費税の納付を考慮して有利かどうかを決定します。

C 還付を受けた年度の後の年度は、簡易課税を選択する方が通常有利です。

 などを考慮して決めますので、必ず有利となるとは限りません。

 そして、この方法が、けしからんという話です。

 しかし別の面から見てみますと、このアパートを売ったときには、また消費税の問題が起きてきます。居住用の賃貸住宅を土地ごと売った場合には、居住用なので非課税だろうと思われるかも知れませんが、不動産所得が生じていた建物を譲渡した場合には、課税取引となります。土地の譲渡は非課税ですが、建物は課税です。もちろんご自宅の不動産の譲渡は、事業ではありませんので消費税の対象になりません。しかしアパートの譲渡は気をつけてください。譲渡した年に消費税の納税はたまたまなくても、それで年間1千万円を超えると、その後で思わぬ消費税の納税が発生します。

 このように、一般の常識が通用しないのも消費税。

 ついでに消費税の節税の方法を・・

@ 個人事業を法人なりする。あるいは、すでに法人事業者の事業をいくつかの別の法人に分散する。

 せこい手です。個人事業を法人にすると2年間ぐらいの消費税の納税義務をなくそうというもので、通常一回しか使えません。法人を新たに設立するのは、経費も掛かり、苦労が報いられない場合もかなりあります。

A 従業員を派遣社員とする。

 これは確かに効きます。もちろんコストは上がることがあります。休眠会社を使う方法もあります。これも数年の命。実態がなければ否認!!

B あまり売上を増やさない。

 簡易課税の選択の範囲である年5千万円に抑えたり、課税の下限である1千万円に行かないように売上に気を配る。

 どれでも良いですが、そんなことに気を遣うより売上を伸ばした方が良いと思いますが・・・

 省略

 

 
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税の歴史−地租改正2
 

 明治6年に始まった地租改正は、まず田畑の確定(測量)から土地の時価の算定をしていくことになりました。

 これを納得して貰うために、政府は、人民(国民)の好むところの目的を達成するため「裁判所・陸海軍・文部・教部・工部・府県等各種の役所を設け、それについて費用を要するものである。ここから租税の必要な理由が出てくる。しかるに旧貢租の制は、租税の公平を要する原理に反して、不公平のところがすこぶる多い。維新後三百諸侯が版籍を奉還し全国一般政府の統轄に帰した上は、このような人民一統の好むところの目的を達成する障害となる旧弊を改正すべきである。」(「地租改正告諭」福島『地租改正』168頁)と。今でも、「何故税金を払うのか?」という「問」に対して、一つには「公共のサービス」を受けるためと。昔からいわれてきた割には、国民の「好むところの目的を達成する」ことになっているのかどうか?

 さて、土地の測量ですが、最初は以前の検地と同様に官が土地の測量をしていましたが、ある時から都道府県庁は、測量方法を人民に教えて、官はそれを検査するとしました。そのため測量の費用は人民が負担することになりましたが、各自が土地を測量することにって、その土地の権利が確保されるという意味ではやる気が起きたようです。幕末の検地不服の状況とは異なり、結果としてこれは地租改正の成功の一つの要因ともなったといわれています。しかし一方では、全国の測量精度はまちまちで、とにかく急いでやらなければいけなかったこの改正は、後に是正されることになります。

 

 次に必要なのは、土地の時価をどのように算定したかですが、これは来月にお話ししましょう。

 

 省略


編集後記
 
大学が始まったとたんに、通信を書くのが遅くなってしまいました。何とか、書き上げてほっとしています。地球温暖化の影響か台風・豪雨の発生が多くなって、東南アジアを中心に世界中に被害が発生しています。また、地震や火山活動の発生も不気味です。でも身体に気をつけて頑張るしかないありません。
      
 編集発行 株式会社プランニングファイブ