P5 NEWS         SHONAN TAX OFFICE NO.236 
 

   
 
平成21年5月1日
 
固定資産税路線価
 
 ゴールデンウイークの5月連休もスタートしましたが、世の中、新型(豚)インフルエンザで騒がしくなっています。牛のBSE、鳥に今度は豚のインフルエンザですか。全部食べ物が絡んでいます。出かける予定もないので、マスクも必要なさそうです。
 

 景気の急激な落ち込みは、早速地価に影響し始めました。国土交通省が3月に発表した平成21年1月1日時点の地価公示によると、公示地価は全国全用途平均で前年比3.5%の下落となり、3年ぶりのマイナスです。全国平均の公示地価は、バブル崩壊後の平成4年以降下落が続き、平成19年、20年と若干プラスに転じましたが、今年再び下落しました。

 

 また、今年の国税庁の公表する路線価も4年ぶりの下落となる公算が強いとみられています。

 

 なお、今年の路線価の公表は、昨年に引き続き7月1日になるようです。この路線価の公表日は、以前は8月1日でしたが、昨年から1ヵ月も早まり、7月1日となりました。公表日が1ヵ月短縮された理由は、冊子での路線価図等の制作をやめたことで、作業が早くなったようです。その代わり、国税局や税務署の窓口には、冊子の路線価図等はなく、閲覧用のパソコンが設置されています。もちろん、自宅や会社からインターネットで、国税庁のホームページの「路線価図等の閲覧コーナー」にアクセスすれば、従来どおり、全国の過去3年分の路線価図等を見ることができます。それをプリントアウトすれば、従来の冊子のコピーと変わりません。

 

 相続税に利用する路線価図の他に固定資産税の路線価があります。これは、固定資産税の計算の基礎になるもので、国税庁の路線価と同じように街路に接する標準的な土地の単位地積(u)あたりの価格を表示しています。

 (財)資産評価システム研究センターでは、全国の市区町村から提供されたデータをもとに「全国地価マップ」を作成し、ネット上で公開していますhttp://www.chikamap.jp/)。
 
 

5月の税務・総務予定

(税務)
*特別農業所得者の承認申請期限           15日
*20年分所得税延納分の納付期限           6月1日
*自動車税の納付                  通常月末
*個人住民税特別徴収税額通知          まもなく
(総務他)
*作業服等の衣替え準備
*労働保険の更新手続きは、  6月1日から7月10日まで

 

  これの面白いところは、同じ地点の“固定資産税路線価”、“相続税路線価”と“地価公示”を簡単に比べることができるところです。

 平成21年度は、固定資産税の評価替えの年にあたります。この4月から全国で土地・家屋の価格を確認できる縦覧が始まっています。一度確認してみてください。
 
 3月下旬に、21年度の税制改正法が成立して、原則として、4月1日から改正された税制がスタートしました。
 ところが、早速4月10日に政府・与党は、急激に悪化する景気を下支えするため、追加の経済対策となる「経済危機対策」を決定しました。
 財政支出は15兆円。所得税収の1年分。21年度予算の税収予想が、46兆円ですから、3分の1を使う規模です。 政府は、「政策を総動員し、オールジャパンで対応する」との意気込みを表していますが、バブル崩壊時の財政出動の検証がどうなったのかは知りませんが、国・地方の借金は、バブル崩壊以降、確実に増えて、800兆円といわれ、1千兆円借金時代の大台超えが、目前に迫っています。
 

 政策の中身をみてみます。

 

@ 住宅取得のための時限的な贈与税の軽減

 これは、あまり使わずに余っている高齢者の資産を活用して、需要の創出を図るため生前贈与をしてもらって子供の住宅を建ててもらおうというものです。この制度は、平成22年末まで2年間限りの政策で、500万円まで贈与税を課さないというものです。この特例は、暦年課税の場合は従来の非課税枠にあわせて適用できますので、110万円(従来の非課税枠)+500万円=610万円まで拡大されるというもの。これは、今年1月に遡って適用されますが、原則、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに入居する必要があります。以前に非課税枠550万円の住宅取得資金の贈与特例があったのとよく似ています。所得税の住宅ローン控除もそうですが、何年か前のコピーが数年後に政策の中心になっています。
 

A中小企業の交際費課税の軽減措置も拡充されます。

 交際費等の損金不算入制度については、資本金1億円以下の法人に係る定額控除限度額を現行の年400万円から年600万円に引き上げるというもので、単純な発想です。なお、10%損金不算入はそのままですので、600万円の交際費を使った場合には、従来では、240万円が所得に加算されましたが、これで行くと60万円の加算ですむということです。ですから、売り上げアップのために交際費を使っているのでしょうから、今まで600万円の交際費を使った場合には、交際費の損金算入の規定で15%(税率40%として)余分に負担しているのと同じでしたが、この改正で1%のアップで押さえられることになります。
 

B企業の研究開発税制の拡充が図られます。

 日本の企業が行っている研究開発費は、米国よりかなり少なくなっています。また、最近では中国に追い越されています。技術力が国の競争の中心であるわが国、何とか盛り返そうとして毎年のように研究開発を助成する減税措置をを講じていますが、ただやっているだけのような改正のため、効果はあまりみられません。今回もその程度の内容です。
 そのほかにも、ランニングコストを考えないで、以前よく作られた『箱もの』予算も計上されています。
 

 4月28日の衆議院予算院会の与謝野国務大臣の趣旨説明です。たいした内容はないのですが、その抜粋を・・・

 

「・・最初に、一般会計予算の補正について申し上げます。
 歳出面においては、経済危機対策関連として、雇用対策について1兆円、金融対策について3兆億円、低炭素革命について1.5兆円、健康長寿・子育てについて2兆円、底力発揮・21世紀型インフラ整備について2.5兆円、地域活性化等について2千億円、安全・安心確保等について2兆億円、地方公共団体への配慮について2兆円、合計15兆円(弱)を計上しております。・・・
 他方、歳入面においては、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から3兆円を受け入れるなどにより、・・・7兆円の建設公債の発行を行うこととしております。
 以上によってなお不足する歳入については、やむを得ざる措置として3.5兆円の特例公債の追加発行を行うこととしております。今回の措置により、平成21年度の公債発行額は44兆円となり、公債依存度は43.0%となります。 
 これらの結果、平成21年度一般会計補正後予算の総額は、一般会計当初予算に対し歳入歳出とも14兆円増加し、102兆4,736億円となります。・・」(数字は、概略表示)

 

平成21年度歳入予算 当  初 補正後
租税及び印紙収入 46.1兆円 46.1兆円
その他収入  9.1  12.3
公債金 33.3  44.1
 合   計 88.5兆円 102.5兆円
 

公債発行枠30兆円は、すでに過去のことになりました。

 
省略
 
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
税の歴史−江戸時代
 
 固定資産税の話をしましたが、住所地の番号がわかっていても、土地や建物の番号(地番)がわかっていなければ、評価額を調べることができません。土地の番号がつけられたのは、明治維新後だそうで、それ以前は村ごとなどの年貢割付状にによる村の連帯責任納付制度がとられていました。現在の連帯納付義務も同じようなものかもしれません。
 
 江戸時代になりますと、世の中が安定し、経済の発展が進むことによって、それ以前とは、だいぶ様変わりしてきました。
 江戸幕府は、18世紀初頭の享保年間に、町方人口の調査をしています。江戸の人口は、おおよそ100万人(町方50万人、武家も同程度、僧侶・神官5万人と吉原等)といわれています。その当時のロンドンで70万人、パリ50万人ですから、江戸は、世界有数の都市だったようです。また、日本の総人口がおおよそ3,000万人。日本全国の石高(米の生産高)が、3,000万石。1石が、一人の1年間の食料にあたりますから、食料=人口となり、食料・産業の規模と人口は同数の時代でした。そのためなのか、江戸時代の末期の人口も3,500万人とそれほど増加していません。ちなみに現在の米の生産高1千万トンとするとおおよそ6千万人分(1石150キロとして)です。
 

 この頃の税は、田租が米納、畑租は金納が原則でした。金納となりますと生産物を換金して納めなければなりません。貨幣については、種類も江戸と関西とでも違いますし、為替相場の変動が激しかったようです。簡単に言いますと米1石=金1両=銀60匁となります。

 

 3代将軍徳川家光の日光東照宮の造営費用が57万両だったとのことですから、年60万人の人を養える分を人のフトコロを使って親孝行にばらまいたことになります。現在で15兆円ばらまくと500万位の人が1年間暮らすことができます。そう思うと、家光の浪費はそれほどたいしたことが無いように思えるのが不思議です。(土方『江戸時代の江戸の税制と明治六年地租改正法公布』、宮林『江戸の生活と経済』ほかを参考にしました。)

 

省略

 


編集後記 

 GWはどちらかへお出かけでしょうか。休日の高速道路の有料料金の減額で、今年は渋滞が予想されています。こんなときは、家にいるのが一番かもしれません。お出かけの方は、新型インフルエンザにお気をつけください。夏もそこまで来ています。夏用の衣替えの準備でもしてください。 

       編集発行 株式会社プランニングファイブ