P5  NEWS       SHONAN TAX OFFICE NO.234   
 



 
 
平成21年3月1日
 
PDCAサイクル
 
 3月と言いますと、年度末。大半の学校も国の会計年度も、3月で一区切りとなります。会社で一番多い決算月は、3月で、20%がこの月に集中しています。この3月決算法人の多くで、大幅な赤字決算が予想されています。
 
 2006年に顕在化した米国発のサブプライム問題は、その後、押しかけ保証のCDS(Credit default swap) へと益々広がりを見せて、信用リスクを増大させてしまいました。
 
 昨年の10月、グリーンスパンFRB(米連邦準備制度理事会)前議長は、金融危機の原因解明を進めている米下院監視・政府改革委員会の公聴会で、銀行などが自己資本を維持する能力があるとみていた自分の仮定は「間違っており、ショックを受けた」と証言しました。クリントン、ブッシュ両政権下で推進した金融市場の規制緩和は、金融機関のリスク管理能力が前提となっていたが、この認識に誤りがあったことを認めたうえで、前議長は今回の危機について「100年に1度の信用収縮の津波の中にいる」と強い危機感を表明し、危機の終息には「米住宅市況の安定が必要条件となる」として、長期化するとの見通しを示した、と報じられていました(23日共同、http://www.47news.jp/CN/200810/CN2008102401000197.html)。
 
 規制緩和自体は、保護体質の脱却を図り、競争力の強化と活力ある経済の実現に必要です。しかし、規制緩和ですべてが終わったわけではなく、その軌道が本来の方向に向いているのか実務的な対応は当然必要だということです。
 
 この危機、我が国は先進国の中でも飛び抜けて、落ち込みが顕著です。マスコミが煽るからだということだけで片付けることはできないようです。
 
 これから景気がどうなるかと言うことは、経済の専門家でもありませんので、判りませんが、アジアを中心に世界が中国経済に依存しています。残念ながら日本経済は,輸出依存のため世界経済へのインパクトはあまり大きくないのは明白。中国の輸出の落ち込みも去りながら,それ以上に大きな輸入の落ち込みが、アジア経済を収縮させています。
 














 

3月の税務・総務予定
(税務)
*所得税・贈与税の申告期限・納付期限         16日
*個人の青色申告の承認申請期限    16日(1月16日以降新たに業務を開始した場合には、その業務開始の日から2か月以内)
*個人消費税の申告期限・納付期限           3月31日
(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー義理チョコ対策

 
 
 また、中国では、地方からの労働者の2千万人が職を失いました。日本と桁が違いますが、これに対して、今月に4兆元(53兆円)の景気浮揚策が採られることになっています。これで、2007年10月以降の大幅な落ち込みが、緩和されることが期待されていますが、財源をどうするのかとか、実効性があるのかとかの疑問もないわけではありませんが(、東洋経済2/28、52頁)、期待するほかありません。
 
 他国頼みは置くとして、一番必要なことは短期的には雇用の確保。大会社は、首切りはけしからんという世の中の風潮があるようですが、米国のビッグ3のように、国から何兆円も資金導入による社会主義的な政策を予定するならともかく、政治に期待できないからと言って一般の企業にそこまで期待するのは酷です。負の遺産を使いまくった定額給付金の2兆円のばらまきではなく、給与の補助などによる雇用の確保こそが,今こそ必要なはず・・
 
 税金とは、全然関係ない話に終始してしまいました。ついでにもう少し。
 過去に類を見ない(未(み)曾(ぞ)有(う)の)景気の落ち込みで、多くのお客様が、どのように対処するか悩まれています。
 ジャーどうするのか?そこで一般的な話を・・
 
*本業回帰・・初心に戻るという意味も含まれていると思いますが、簡単に言えば現場をもう一度見直そうと言うことでしょう。しかしそう簡単な話ではなく、構造的な不況業種の場合は、業種転換しか方法はありません。この時期に飛躍的な決断は、傷を大きくしますので、少しでも力を小出しにするか、もっと大きな決断しかないかも知れません。
 
*管理会計の実践・・経営の意思決定に役立つ指標をいかに早く把握し、それを経営に役立てる必要があるのは言うまでもありません。“感”や“大雑把な予想”に基づいた経営では、一層難しい時代になりました。
 
*ワークシェアリング・・中小企業でもすでに始まっているようです。週休の拡大、時間の短縮などで対応しています。
 
*PDCA(Plan・Do・Check・Action)サイクル・・は、実績や将来予測から業務計画を策定する(Plan・計画)⇒計画に沿って業務を行う(Do・実行)⇒計画に沿っているかどうかを確認する(Check・点検)⇒計画に沿っていない部分を調べて処置をする(Act・改善)⇒Plan⇒・・のサイクルを実施します。
 「言うは易く行うは難し」だと書いていて思いましたが、何かやらないわけに行きません。
 
 さて私どもで、困難を強いられている皆さんに、何ができるかです。
 
 事務所では、次の二つのことをやろうと思っています。
 
 
☆一つは、中小企業の会計指針準拠した決算書の作成を目指します。
 
 こんな時期になんだと思われるかも知れませんが、今だからこそ必要だと思っています。
 
 中小企業の会計指針とは、大会社に適用される厳格な会計基準を中小企業でも採用できるような内容で、中小企業の決算書の信頼性・透明性を高めることを目的としています。早い話が、中小企業の正確な決算書を作成します。そういうと今までは正確ではないのかと揚げ足を取られそうですが、一定の基準に基づいた決算書を作ろうとするものです。
 
 事務所では、一年以上前から決算時に、税法では認められなくても、棚卸資産や固定資産など価値の下がったものはありませんか?売掛先などで、貸倒の恐れがあるものはないですか?など、お聞きしてきました。それを,できうる限り決算書に反映させ、注記に記載してきました。しかし、完全にこの指針に準拠していたわけではありませんでしたので、その旨の記載はしていません。
 原則として、3月決算法人から顧問先法人の決算に、この指針に準拠して参ります。しかし、今まで以上にお客様のご協力が必要となります。そこで、より精度の高い決算書を作成するために、決算だけのお客さんにつきましては、対象外とさせていただきます。
 
 
☆二つ目は、前記管理会計を目指します。
 
 毎月の顧問先対象ですが、できうる限り早く試算表など経営に役立つ資料を提示いたします。これも当然、お客様の協力が必要となります。今までと同じ感覚ですと、変わることができません。何が必要か?も踏まえて担当者と相談させてください。従業員ごとの資料、顧客先ごとの資料、営業所ごとの資料、販売先ごとの資料など具体的に必要なものをご提示下さい。
 とにかく、一緒に新しい取り組みをしたいと思っております。
 
 省略 
 
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
税の歴史−室町時代-2
 
 今回は、先月に続いて南北朝・室町時代(1333-1467)の税・第2話です。
 
 中世、荘園領主による課税とは別に、国家的諸行事ののために臨時に課税された“段(だん)銭(せん)”が有りました。面白いのは、銭納が原則で、「田畑一反あたり何文」という形で課せられていました。
 
家屋の棟ごとに臨時の税に、“棟(むな)別(べつ)銭(せん)”があり、寺社の修造費用に充てられ棟別10文ほどの銭納によっていたといわれています(佐藤『租税』58頁)。
 
 ところが、この銭というのがくせもので、今のように価値があったかと言えば、限定的であったようです。
 
 日本の貨幣の歴史としては、通常、日本の最初の貨幣は、700年頃に発行された銅銭である「和(わ)同(どう)開(かい)珎(ちん)」だと。秩父に大量の和銅が発見されたからだとも言われています。そして、奈良時代から平安時代の中頃までの250年間に12種類の銭貨が発行されています。これを“皇朝十二銭”といっています。この銭は、段々小さくなり、当然銅の含有も少なくなり、価値のないものを強制的に押しつけたことから、官銭の信用がなくなったのは、当たり前のことです。その頃は、穴の空いた銭が一般的でした。
 
 “皇朝十二銭”以降、室町時代まで日本では、貨幣の発行はなされていません。もちろん貨幣がなかったわけではなく、中国から貨幣を輸入して,これを国内に流通させていました。何故、銅を輸出して銅銭を輸入したのかはっきりしませんが、鋳造技術が劣ったからだとも、日本の貨幣の信頼がなかったからだとも言われています。そして戦国時代末期に再び、貨幣が登場してきます。陸奥の砂金、武田の甲州判金貨、江戸時代なると佐渡金山などから大量な金銀が発見されたのは、後の話です(宮林『江戸の生活と経済』40頁)。
 
 なお“ふりがな”は、一般的と思われるものによりました。
 
 省略 

編集後記

 所得税の確定申告も2月中にかなりの件数の申告が終了しました。殆ど電子申告によることができ、これも皆様のおかげです。ありがとうございます。寒かったり、暑かったりしますが、身体の調子の崩れるとき、どうぞ、気をつけて下さい。何だか、今年の冬は天気の良くない日が続きます。 

          編集発行 株式会社プランニングファイブ