P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.217
 



 

平成19年10月1日

相続対策商品

 あの暑かった夏が、東日本では嘘のように涼しくなりました。でも西日本では、まだ30度を超えている日が多いようです。この天候一体何なのでしょうか。

 最近では、証券会社や信託銀行が、相続対策などのセミナーを開くことがあります。それなりに知っておいた方が良いかなと思う内容も多いのですが、やはり利潤を追求する企業ですからそれなりに会社にとって美味しいところの話をします。

 そう言えば、金融商品取引法が先月の末(30日)に施行されました。法で金融商品等を販売するときにはリスクを明示しなさいと義務づけました。

 一方では、パンフレットに字が増えて読みにくくなったかなという感じもします。興味のある方は、日経文庫の『金融商品取引法入門』が分かりやすく書いていますので、お読みください。

 そんな話しではなく、証券会社が募集代理店になって保険を売るのでしょうか、相続・贈与の話しに相続対策を絡めて年金保険の話をしていました。今回は、たまたま税理士会の勉強会で話された内容ですが、一般のお客様にもセミナーの最後に話されているそうで、本当かどうか分かりませんが、売れているようです。

 これは、一時払いで1億円の年金受取の保険にお父様が入ります。それを子供に贈与しようというスキームです。−昔もこんなの有りました−1年据え置き後に年金の受給が始まりますので、その時に贈与が発生しますが、年500万円づつ20年間にわたって定期金で受け取りますので相続税法の定期金の評価(24条)をしますと、1億円が4千万円に下がり、贈与税の特例(相続時精算課税制度)を使えば、贈与税は300万円となりますよと。すなわち300万円の贈与税で、20年間にわたって1億円近いお金が子供の手元に入るというものです。

 税理士ならば、こんな話しに乗る人はいないと思いますが、一般の人ならば、飛びつく人がいるかも知れません。

 

 










 

10月の税務・総務予定

(税務)
*特別農業所得者への19年分予定納税額の通知    15日まで
*個人住民税第3期分の納付            通常月末


(総務他)
*秋の厚生事業実施

 

 まずこれは、1億円が4千万円に下がるというのがミソですが、確実ではありません。また年金としてもらったときに雑所得が子供に発生しますが、支払った保険料を控除できないおそれがありますので、年500万円の年金の受取ったうち税金を引きますと手元に残るのは300万円有れば良い方です。またこの保険、入ったときに手数料として、400万円かかりますので、その分も考えておかなければなりません。

 前もって、税理士に相談すればいいのにという事例も時々見受けられます。例えば、保険契約者を変更した事例がありました。何故そうするかの理由も分からずに保険の販売員に言われるままに変更したそうです。その理由が退職でもなく、代表者の子供従業員だとすればなおさらです。結果としてその方は、色々な意味で損失を被ることになります。

 最近は、色々な肩書きがあります。よく税金の説明をされるFP(ファイナンシャルプランナーのこと)も確かに税務関係の試験も受けてきますが、税務の専門家ではありません。やはり専門家に相談してください。

 

 今回の話に出た証券会社は、法律ができて初めての外国親会社株式を使う「三角合併」の事例になるようです。これは、米国の大手銀行(C銀行)の100%子会社である日本で設立した銀行(CJ銀行)が、日本の証券会社(N社)を、完全子会社にするために、N社の株主から、所有するN社の株式と米国のC銀行の株式を交換してしようとするものです。

 CJ銀行は、知名度はあっても日本では拠点も少なかったのですが、一挙に個人金融ビジネスを拡大することができます。

 初めてのことなので、どのように実施されるのかは、興味深いところです。日本のCJ銀行は、親会社であるC銀行の株式を手に入れます。この瞬間には子会社が親会社の株式を所有することになります。

「それってダメじゃん」

「そんなの関係ない!!」

 株式交換ですぐ、子会社が親会社の株式を持つというマズイ状況は、解消されますが、親会社の株を一株残らず交換するには実務的にはどうするのか。

 CJ銀行は、N社の株主にC銀行の株式と交換しようともちかけます。OKと言ってくれたら、交換しますし、嫌だという株主には買い取ることになります。交換しても良いよという株主も、少なくとも日本で売買できる環境があることが条件になるでしょうから、C外国銀行も日本の証券市場で上場する準備をしているようです。

 なお、交換に同意した株主については、原則として、譲渡所得課税はされません。

【地震保険料控除】

 平成19年度の所得税から適用される所得控除に「地震保険料控除」があります。このため、今年の年末調整から適用しなければなりませんので、お知らせしておきます。

 これは、今までの損害保険料控除を廃止して、地震保険契約で支払った保険料等を最高5万円まで控除しようとするものです。但し従来の長期損害保険契約等のうちで一定の損害保険料については、経過措置として地震保険料控除の対象とすることができます。

 従来の長期損害保険は最高15,000円までの控除は使えると思われます。従来の火災保険で、その契約に地震保険をつけておられる場合にはどうなるかが問題です。この場合には長期損害保険と地震保険の選択となります。

 例えば、従来の火災保険等の長期損害保険が、17,000円、同じ契約で地震保険が10,000円だったとします。

 この場合には、地震保険料控除の額は13,500円となります。

地震保険料による控除額 ・・・ 10,000円

旧長期損害保険料による控除額 ・・・

13,500円(= 17,000円 × 1/2 + 5,000円)

 大きい方の13,500円が、地震保険料控除の対象になります。なお、短期損害保険料控除は、全くなくなりました。

 

業務主宰役員給与の損金不算入】

 これは、かなり専門的な話しですので、読み飛ばしてもらっても結構です。

以前に書いた「特殊支配同族会社」の社長(正しくは「業務主宰役員」といいます)の給与のうち、一定の場合には、年間の給与所得控除額(相当額)については会社の所得計算に加えるというものです。

 同じ社長が他の(特殊支配同族)会社の社長としているとした場合には、その社長の両方の給与を合算して計算した方が有利になりますので、そのように計算します。

 問題は、その他の会社は、特殊支配同族会社でありますが、損金不算入の要件に合致しない場合には、他の会社の給与を、合算できるのかどうかです。結論はできます。忘れてしまっているとマズイので紹介しました。

 業務主宰役員給与が年間1,200万円だったとしますと、これだけですと230万円が損金不算入額になり、税金は100万円ぐらい増えます。

 一方、損金不算入の規定を受けない他の会社の年間給与も1,200万円だとしますと、先程の計算の230万円が、145万円と大幅に下がってしまいます。

 

   一部省略

P5コーナー
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法人税の誤った認識2

 今月も、東京国税局税務相談室の「誤りやすい事例集」からです。余り興味はないかと思いますが、今月も法人税です。なお、原文とは少し変えております。またここに掲載した(正しくは)は、一般的な回答です。

資本的支出と修繕費の区分

1(誤り)修理・改良等に要した費用が60万円未満であれば、その全額を修繕費として損金経理をすることができる。

(正しくは)60万円基準が適用できるのは、資本的支出か修繕費かが明らかでない場合に限られます。聞かれればこう答えます。

臨時株主総会で決算書を訂正して更正の請求をすることの可否

2(誤り)株主総会で決算が訂正されれば、その訂正された決算は確定した決算と認められるので、更正の請求は認められる。

(正しくは)原則として、会社法の規定による決議無効等に基づく決算の変更等特別の事由に基づく決算の変更以外の理由による変更は認めていないので、更正の請求は認められません。

期末が休日である場合の期末満期手形は貸倒引当金の対象となるか

3(誤り)期末が休日であっても、会計処理上、入金があったものとして処理を行うので、金銭債権に含まれない。

(正しくは)期末が休日に当たる場合には、交換日は休日に次ぐ翌営業日になります。このためその手形は、翌期に決済されますので、期末には金銭債権として存在することになります。

市場価格が下落しているゴルフ会員権(預託金方式)の評価損

4(誤り)有価証券に準じて、要件を満たせば評価損の計上は認められる。

(正しくは)時価が50%以上下落したとしても、これは施設利用権(プレー権)ですので単純に評価損の計上を認められません。

役員報酬の日割計上

5(誤り)事業年度末において、役員報酬を日割りで計算し、未払計上した。

(正しくは)役員報酬は、包括的な委任の対価です。民法上の後払原則との関係からみても、一般に日割計上は認められません。

   一部省略


編集後記 

今年の春から岩手の大学に月2回ほど通うようになった。折しもNHKの朝ドラの舞台が、岩手の盛岡。東北ブームか休日ともなると、ツアー客が新幹線を占拠する。ドラマも終わってこれから静かになるだろうか。岩手は、夏から冬に急激にその装いを変えようとしている。 

         編集発行 株式会社プランニングファイブ