P5 NEWS      SHONAN TAX OFFICE NO.210
 



 
平成19年3月1日
 
確定申告書
 
 先月は、4月からお世話になる大学院の講座の打ち合わせに岩手県に行ってきました。当日は、今シーズン初の大雪。久しぶりの白い世界に感激しました。その晩は、大学で紹介してもらった温泉に一泊。雪の舞う露天風呂でノンビリ。翌朝は朝一番で帰ってきて忙しない旅でしたが、ホットした一時を過ごさせていただきました。

 

 でも、帰ってきたら現実の業務が待っています。早速、個人の所得税の確定申告に突入。法人の申告と変わらないような事業所得や膨大な資料を添付する譲渡所得の申告から年末調整並みの給与、年金に係る申告まで色々な申告を作成いたします。
 

 もちろんどんな簡単と思われる申告でも、資料の選別や複数枚の申告書の作成が必要になります。最近ではコンピュータが検算してくれますが、コンピュータ故に打ち込みや、打ち出しに時間がとられます。特に送られてくる申告書がOCRですので、それを使うと、枠に合わせるのも紙質や送りの問題もありなかなか厄介です。

 

 税務署では、申告書には色々な情報が打ち込んでいるので、その用紙を使ってほしいと。判らないではありませんが、もっと簡単なものでも十分でしょう。

 

 それよりも今年から、振替納税の場合に申告書の金融機関の打ち出しがなくなってしまいました。聞くところによると申告書の一番下のコメントで判断しろということのようです。「振替納税日は国税庁ホームページ等でお知らせしています」となっていたら振替納税ですと。しかし結果として、税務署に電話で確認することが多くなってしまいました。

 

 申告書に色々な打ち込みがあるから、その申告書を添付してくれと言うのなら、振替納税や消費税の課税や簡易について、それこそ明確に刻印しておけばいいのにと思ってしまいます。

 

 また、確定申告でいつも思うことに、(公的)年金所得者の確定申告があります。一般に高齢者の多い年金所得者であっても、確定申告をしなければなりません。

「来年申告にこられるかどうか判らないのですが・・」「そうですね・・ムニャ・ムニャ・・気をつけて帰ってくださいね。」
 

 年金所得者についても年末調整みたいな制度は、一般の事業者では強制されていることを思えば、できない訳ではないでしょうが、還付申告以外、原則として申告不要ぐらいは制度として有っても良いと思います。

 

 

3月の税務・総務予定
(税務)
*所得税・贈与税の申告期限・納付期限               15日
*個人の青色申告の承認申請期限  15日(1月16日以降新たに業務を開始した場合には、その業務開始の日から2か月以内)
*17年分所得税の更正の請求期限            15日
*個人消費税の申告期限・納付期限                     4月2日
(総務他)
*新年度の昇級・給与査定
*ホワイトデー義理チョコ対策

 
 
【平成19年度税制改正】
 

 前回は、減価償却の話をしましたが、今月は、住宅ローン控除の改正をお話ししておきます。

 

 改正の内容については難しくはありませんが、どうやって適用するかは、自分の所得が、これから10年以上どうなるかを考えておかなければ、損することも考えられます。税金で損得があるのはおかしいと思われるでしょうが、このような事例は外にもあります。

 

 改正の内容は、住宅を購入して平成19年又は平成20年にその住宅に住み、かつ、銀行等のローンがある場合には一定の金額を所得税額から控除するというものです。

 

 同じような制度は今までもありましたが、新しく19,20年のみ限定で、この間は、従来の住宅ローン控除でもこの新制度を使っても良いことになっています。

 

 新制度は、控除期間が現行の10年から15年になりますが、控除額の総額は、同じになるようにされています。すなわち、毎年の控除額が少なくなる分だけ、控除期間が長くなり、最終的には、同じになります。

 

 これは、国から地方への税源移譲によって所得税額が減少したことに伴い、それをホローするために毎年の控除額は少なくても控除年数を延長して、控除切捨額を極力少なくしようというもののようです。

 
 それでは、従来の住宅ローン控除を既に適用されされている方はどうなるのでしょうか。諦めてもらう??
 

 この場合は、平成18年末までの住宅の購入等に対する住宅ローン減税の額が,所得税で控除しきれない額が発生した場合には,個人住民税から残額を控除することができるという制度があります。これは18年の改正で制定されたもので(地法附則5条の4)すが、適用しようとする人が申請しなければなりません。この申請は、平成19年分の確定申告、すなわち、来年の今頃の19年の納税額が判った段階で申請します。どのような申請書になるのか、まだ判っていません。

     
 

居住年
 平成
 

 減税に係る年末残高
 

控除期間
最高控除額
 
         各年の控除率
        (カッコ内は控除限度額)
     現行
   控除期間10年
    改正
  控除期間15年

19年

 

2,500万円
以下の部分
 

200万円

 
1年目〜
 6年目
 1.0%
 (25万円)
1年目〜
 10年目
 0.6%
(15万円)
7年目〜
 10年目
  0.5%
(12.5万円)
11年目〜
 15年目
 0.4%
(10万円)

20年

 

2,000万円
以下の部分
 

160万円

 
1年目〜
 6年目
 1.0%
 (20万円)
1年目〜
 10年目
 0.6%
(12万円)
7年目〜
 10年目
  0.5%
 (10万円)
11年目〜
 15年目
 0.4%
(8万円)











 
  例えば、年収800万円、4人家族で、所得が350万円ぐらいだとします。また、従来の住宅ローン控除が、最高額の30万円だったとしますと・・
 

 平成18年までの所得税額=370,000円

 納税額(ローン控除後)=70,000円(=370,000−300,000)
 

 平成19年新税率による所得税額=(3,500,000×0.2-427,500=)272,500

 この金額は、ローン控除の300,000円より27,500円少なくなり、この分を個人住民税から控除してもらいます。
 
 確定申告を行わない人は、各市町村に申請しなければならないようですが、時期等の詳細は不明です。
 
 19年の改正では、このような適用はありませんので、新しく出てきた低率・長期のローン控除を使うか,今までの高率・短期のローン控除を使うかは、ご自身のこれからの所得、入居期間や借入金の返済予定を考えて決定してください。
 
   省略
P5コーナー
(株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の資産運用、相続対策業務、パソコンの購入及び指導、貴社のホームページの作成・ドメインの取得、計算書類の公告のお手伝いをしております。
 
所得税確定申告特集−3        −誤りやすい事例

 

1(誤り)相続により取得した減価償却資産の耐用年数を中古資産取得の耐用年数を適用して計算した。
 

(正しくは)被相続人の耐用年数を引き継ぎます。但し、被相続人が定率法で償却していた業務用の建物の場合には、平成10年4月1日以後に相続で取得した建物は,定額法に変更し、それ以外の耐用年数、取得価格、未償却残高は引き継ぎます。

 

2(誤り)アパートを2分の1づつ共有で建て賃貸している。この度、15万円の備品を購入した。10万円以上なので減価償却資産として償却限度額を必要経費とした。

 

(正しくは)購入価格を共有者の持分で計算した場合に10万円未満であれば、それぞれの必要経費となります。

 

3(誤り)労働基準法では、解雇しようとする労働者には少なくとも30日前に予告するか、30日以上の平均賃金を支払わなければならいとされている(20条)。賠償的な性格があるため非課税だとして処理した。

 

(正しくは)心身に損害を与えたわけではないので、非課税とはなりません。また実際の労務に対する対価では有りませんので給与所得にもならず、退職所得となります。

 

4(誤り)年収2千万円以下の給与所得者が、たまたまその年に生命保険の満期返戻金(満期返戻金は300万円、掛金は220万円)があり、この一時所得は、特別控除の50万円を引いて30万円になった。このため、「給与所得以外の所得金額」が20万円以下の場合に確定申告をしなくて良い場合に該当しないと思った。

 

(正しくは)給与所得以外に一時所得がある場合には、「一時所得の金額」を2分の1した後の金額で確定申告を行う必要があるかどうか判定します。これは、確定申告の提出要件が、総所得金額等から給与所得の金額を控除した金額が20万円かどうかで判定しますので、この場合に給与所得の金額が300万円だとしますと、総所得金額は315万円(300万円+30万円×1/2)、給与所得以外の金額は15万円となり、確定申告を要しないとなります。
 

  省略

 


 編集後記  今年は暖冬で、まるで春のような気温が続いています。事務所では、ご依頼される個人のみなさまの確定申告の資料は、殆ど2月中にお預かりいたしました。現在全力を挙げて資料の整理、申告書の作成を行っております。こちらを優先いたしますので、これからご依頼いただく場合には、期限内の申告についてはお引き受けできないこともありますので、ご了承ください。
   編集発行 株式会社プランニングファイブ