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平成14年6月1日

書面添付制度

 

 今年も平成13年分所得税の高額納税者が公示されました。公示対象者は、3月31日までに確定申告をし、所得税額が1,000万円を超える者です。公示対象者は全国で8万人。納税人員の1%そこそこの人を公示します。

 今回は、消費者金融やパチンコなど比較的不況に強いと言われている業種の役員等が上位を占めています。最高額納税者は、高橋洋二氏(消費者金融のユニマットグループ代表)で、所得税額は68億円。住民税は24億円。所得額は、おおよそ185億円(5千万円/日)ですので、所得の50%の税金を負担しているはずです。なお同氏の住所は沖縄県の竹富町ですので、住民税でも町の財政を潤すことになります。

 前にも書きましたが、この申告書の公示制度は、高額所得者等の所得金額を公示することで、第三者によるチェックという牽制効果を狙うものとして、昭和25年に閲覧制度に代えて導入されたものです。この公示制度の存否をめぐっては従来から議論がありました。このようなプライバシーの公表が、それに見合うどのような効果があるというのか分かりません。

 長者番付にリストアップされたことで、寄附金の強要があったり、訳のわからない営業攻勢を受けるという話を聞きます。なお、昨年から実施されている情報公開制度の利用者数は国税庁が圧倒的に多く、これは高額納税者の公示情報を請求するものが大部分を占めているからだそうです。

 

 さて、今年4月から改正された税理士法で、税理士が作成した申告書にどのような計算、整理や相談に応じたかを記載して添付する書面添付制度(Appending of documents for calculation , review , etc.)の拡充が図られました。

 これは、私どもの事務所に申告書作成業務を委託している納税者の方に重要な改正ですのでお知らせ致します。難しくなりますが、正確を期するために。“改正内容は、計算事項等を記載した書面が添付されている申告書を提出した者について、あらかじめ日時場所を通知して帳簿書類を調査する場合には、その通知前に、税務代理権限証書(委任状のことです)を提出している税理士又は税理士法人に対し、添付された書面に記載された事項に関し意見を述べる機会が与えられることになった。”


6月の税務・総務予定
(税務)
*所得税予定納税額の通知17日
*個人住民税の納付(第1期)

(総務他)
*夏期賞与の準備
*梅雨時の食事、健康管理

 

 大きな点は、これにより税務調査が省略される場合があると言うことです。

従来からこのような制度はあったのですが、利用率は0.3%〜0.5で、殆ど使われていませんでした。

 今回の改正で、申告書に書面添付があった場合には、臨場調査をする前に、記載した税理士から書面の記載事項に関する意見陳述を求めて、問題が解決した場合には、それで“調査は終わり”ということになるそうです(H13.4.5参議院財政金融委員会、政府委員答弁)。ただし意見陳述は通常の税務調査として捉えていないようで、調査の終了というより調査省略に近いようです。一般の納税者の方にはどちらでも違いはないと思われるかも知れませんが、我々には大きな違いがあります。

 この制度が出来たことから、国税庁は、各税務署、調査担当官に次のような内務資料を示達しました。「意見聴取は、税務の専門家としての立場を尊重して付与された税理士等の権利の一つと位置付けられ、各税法に規定する質問検査権(税務調査のことです。)の行使には当たらないとされていることから、書面の記載事項に関する税理士からの意見陳述(以下「一般的な意見の聴取」という)にとどめる。したがって、意見聴取に当たっては、質問検査権の行使と解される具体的な非違事項の指摘や書面に記載のない事項に係る質問は行わないことに留意する。」そして意見聴取後に出された修正申告書にかかる加算税(一種のペナルティ)については、「「一般的な意見の聴取」にとどまる限り、加算税は賦課しない。」としています。重要な内容を含んでいます。実際問題としては、添付された書面に記載された事項に限定すると、意見を聞く内容はそれほど多くはないと思われますが・・実際は?

 いずれにしましてもメリットは多いと思っておりますが、すべての申告にこの制度を適用することは出来ません。

当然のことですが、虚偽記載が有ればその税理士は処罰されますし、それなりの内容が必要ですので、時間もかかります。

 そこで、法人税の申告については顧問契約を結んでいる顧問先に限らせて頂くと共に、申告期限の3週間前までにこちらからお願いした資料も含めすべての資料の提示をうけかつ税額が確定している場合に限らせて頂きます。所得税については、今のところ対応は考えていません。ただし譲渡所得などの資産税についてはケースバイケースで対応したいと考えていますが、2月中に終了のみに限定させて頂きます。相続税については、原則すべての申告にこの制度を利用したいと考えています。いずれにしましてもこの制度の利用は納税者の協力が一番大きな鍵となりますので、意思疎通を図るため新たに顧問契約書を作成させて頂きますのでよろしくお願いします。

 最後に一つだけ大事な点をお話ししておきますが、この書面添付制度は、税理士による適正な(税務)監査証明を行うものではありませんので、その点誤解の無いようにお願い致します。

 

【税務Q&A】

 紙面が無くなってしまいましたので少しだけ・・・

Q1 当社の従業員を北米の現地法人に3年間の予定で出向させることにしました。この従業員に対する給与は、現地法人が支払いますが、我が社では国内に残った家族に家族手当を支給することにしました。源泉徴収をしなければならないのでしょうか?

 

A1 この従業員の方は、非居住者(簡単に言うと、国内に住所がなく、引き続き1年以上居住する場所を持たない人です)になります。非居住者に支払う給与については、原則として、国外の勤務に基づいて支払われるものは、たとえ国内において支払われたとしても日本で課税されないことになりますので、源泉徴収の必要はありません。

 

Q2 Franceの本社から今年3月に9か月の予定で日本支社に出張しています。日本滞在中の給与は、本社からパリに住む私の家族に支払われています。日本では課税されないと考えて良いのでしょうか?

 

A1 あなたの日本滞在期間は183日を超えていますので、日仏租税条約による短期滞在者免税の規定は適用されず、国内源泉所得として課税されます。具体的には、Parisの本社が留守家族に支払ったときに日本支社が日本において支払ったものとみなして日本支社が20%の税率による所得税を源泉徴収して納付することになります。

 

省略

 

  SHONAN TAX OFFICE

     税理士 中江 博行

     税理士 大野千寿子

     スタッフ一同



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立山黒部アルペンルート

    (株)P5では、経営計画策定、保険・不動産等の

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 なかゆき会恒例のバス旅行、今年は、雄大な自然が織りなす景観を求めて、立山黒部アルペンルートを企画いたしました。

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1、今月のパソコン教室は、

省略

2、P5のホームページ

 http://www.shonantax.com、この事務所通信(英語版も)掲載中!! 

 メールは、p5@p-five.comです。


 編集後記
 六月になりました。これからうっとうしい梅雨になるのでしょうか。ちょっと憂鬱ですね。でも巷は、ワールドカップ一色?特にキャンプ地の地元の皆様は、老いも若きも盛り上がっているようですね。これから1ヶ月、経済効果は如何ほどでしょう。フーリガンが暴れないと良いですが。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ