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平成13年4月1日

21世紀の税務申告

 

 21世紀の新年度のはじめに、これからの税務申告がどうなるかを考えてみます。

 これから10年以内に申告方式や課税システムが大きく変わるでしょう。

 申告方式の変更は、殆どの申告は用紙を使わない申告、すなわち電子申告

Electronic Filing )になるはずです。大半の申告が電子申告になると考えている人はまだ多くはないようでが、移行は早いのではないかと思っています。

 なぜ早期に電子申告が大半を占めると思うのかを説明する前に、申告現場の現状を少しお話をしておきます。

 まず、今年の確定申告時に税務署からのアピールとして、申告は納税者皆さんが自分で書きましょうというテレビやラジオでの放送をご覧になった方も多いと思います。

 従来税理士に申告を依頼していない人は、申告期間中に税務署などに行って、書いてもらっていました。最近では、年金受給者の申告の急増や還付申告の増加によって行政の事務負担量が増加していますが、その割に行政の人員は増えませんし、今後大幅な人員の増加はもちろん不可能です。そこで“自書申告”と言って納税者自ら書くという方式に変更してきました。これは税務署の職員一人で何人もの納税者を担当するため、納税者自らで書いて、分からないところは職員に聞くという方式です。ですから、申告時に計算が合っているか間違っているか検算はしません。間違いが有れば後で税務署から連絡があり、訂正をすることになります。

 これからも納税件数は増えるでしょうし、また、サラーリマンでは、現在、会社で年末調整して税額を確定させるという方法をとっていますが、これに批判的な意見も出されています。


4月の税務・総務予定
(税務)
*所得税の振替納税  4月18日
*消費税の振替納税  4月26日
(総務他)
*新入社員の社員研修
*定期昇給の算定
 

 昨年発表され税制調査会の答申にも、

(会社で行う年末調整によらず)サラリーマンが申告によって税額の精算、確定を(自分で)行うことは、社会の構成員として社会共通の費用を分かち合っていく意識をたかめる観点から重要だといっています。結果として、納税の責任と使途に対する関心を喚起することになるからです。

 そうなりますと益々申告件数は増えるでしょう。年末調整がそれほど簡単になくなるとは思われませんが、納税

(還付)、申告の増加に対応しておかなければならないのが今の現状です。

 そこで、申告件数の増加を、自書申告や電子申告で対応しようとしていると考えるかも知れませんが、それだけではなく、電子申告には別の要素もあると考えられます。

 申告納税制度の下で、少ない行政官で公平な課税の実現を図るために何が必要かと言えば、それは、質の高い多くの情報を収集する手段を確立することです。

 電子申告を利用することによって、膨大な情報を収集することが可能になります。

 1998年のアメリカの国税庁再編成改革法(RESTRUCTURING AND REFORM ACT OF 1998)では、電子申告についての努力目標が規定され、アメリカ議会の考え方が示されています。

 内容はインターネットで見ることが出来ます(H・R・2676で検索)。

 この議会審議経過と立法理由を説明したロス上院財務委員長の報告書について塩崎潤氏が『1998年アメリカ内国歳入庁(IRS)再編成改革法』(1999、今日社)で紹介していますので、少し長いのですが原文のまま紹介します。「アメリカでは、殆どの人が、毎年4月15日までに確定申告書を提出しなければならず、確定申告書の枚数は、2億件にも達するといわれる。従って10万に及ぶIRSの職員数でも十分、手が廻らず、確定申告時期は、税務署はもちろん、金融機関、郵便局まで納税者で大混雑することは、余りにも有名である。従って、確定申告が電子で行うことができ、申告用紙が必要でなくなる電子申告が実現することは、コンピューター時代のアメリカ人が早くからみていた夢であった。また、用紙を用いた納税申告書の処理に係わるエラー率は、20%だが、電子申告書のエラー率は、1%よりも低いといわれるから、納税者にとっても、また、IRSにとっても、電子申告の魅力は、さらに大きい。

 そこでH・R・2676は、IRSに直ちに法律的義務を課す規定の仕方を採用せず、2007年までに、納税申告書の少なくとも80%を電子報告するとを予定した長期目標をもって、「用紙不要の申告提出」を促進することが議会の方針であり、財務長官に対して、そのための戦略的計画を立案することを求める一方、電子的形態で作成されたけれども、用紙の形態で提出する申告書が、2002年までに、できる限り「電子提出」されるべきことを要求している。

 以上の規定が示すように、立法機関の議会が行政庁から目標の実施進捗状況等の報告義務を課するというような法律の規定の仕方は、唯一の立法機関である議会の意思を表わすものとして、アメリカでは当然のことのように行われている。我が国のように、国民の権利を制限し、あるいは、国民に対して義務を賦課することが立法ないし法律規定の目的ないし趣旨と考える憲法観あるいは法制観からみると、奇異に感ずるかも知れない。また、我が国では「三権分立」の思想に基づくものか、我が国の立法例で、行政庁に努力目標を課し、その進捗状況について、議会に対して報告義務を課すような立法例は、殆どみられない。」

 どう思いますか。電子申告を申告の選択肢が広がる程度に考えることはできません。今後、日本でも大半の申告に電子申告が求められるでしょう。

 

 また、申告の前段階としての記帳についてもコンピュータ化が求められると考えています。

 これからの会計ソフトは、今までとは別な要素が入ってきます。今後、この分野では,記帳を行う道具ではなく、取引の記録として詳細なデータを入力していくことになるでしょう。

 また、電子商取引が一般化することになるでしょうから、直接取引データが保存され、申告と直結することになります。その先には申告納税制度の縮小が必然的におきてくるのではないでしょうか。

 

 21世紀の新年度は、税務の場でも大きな時代の変革期を迎えています。

 その中にいて、仕事ができることは最高にLucky!!

 でも頭と身体が追いついていけないのが気になりますが・・・



          Corner 

 

 雇用保険

 雇用保険が4月1日より大幅に改正されました。改正点は、給付日数が減らされたこと、離職理由により格差をつけ、倒産・解雇等の場合には給付が増えたことです。

*給付日数  これまでは原則として勤務年数及び離職時の年齢により、支給される基本手当の日数が決定されていましたが、離職理由が加えられることになった結果、離職理由が自己都合である退職の場合は、これまで最高で300日の給付日数であったものが、次のように最大180日とされました。

 

            一般の離職者 被保険者区分(単位日)

被保険者
であった
 期間
5年
未満
 
5〜
10年
未満
10〜
20年
未満
20年
以上
 
一般被
保険者
 90
 
120
 
 150
 
 180
 

 

*離職理由が倒産や解雇等の場合

 45歳以上60歳未満で20年以上勤務した者の場合は330日と給付日数が引き上げられました。離職票は、離職理由を細かく記載されるような様式に改められています。なお、解雇・倒産等には、就職の時に示された労働条件が著しく相違した場合や、セクハラなどをうけ就業環境が害されるような場合も含まれるそうです。 詳しくはハローワークで・・

1、今月のパソコン教室は、

  省略


 編集後記
 満開の桜の下、政治も経済も先行き不透明(不安)のまま、平成13年度がスタートしました。今月号は(も?)、発行が遅れ申し訳ございません。13年度の税制も国会を通りましたので、詳細は、次号で掲載いたします。
 編集発行 株式会社プランニングファイブ